1.調査の概要
2.調査結果の一部
本調査は、企業における開発設計業務の実態をとらえ、また従来の調査との比較研究を行うために、下記の内容で実施したものである。
(1)会社および事業所(事業部)概要と人員の実態
(2)技術部門を取り巻く環境変化と強化課題
(3)開発・設計の実態
(4)開発設計におけるQCD実態
(5)開発設計マネジメントの現状と課題
(6)開発設計・技術スタッフについて
(7)技術者人事制度・教育の動向と課題
(8)組織的な革新活動の現状と課題
本調査は、東京証券取引所第1部、第2部上場会社および非上場会社のうち製造業を中心に3869事業所を対象とし、1997年11月より12月までの期間に質問調査票を開発設計部門の責任者に郵送し、回答のあった280事業所(回収率は7.2%)について集計・分析を行った。
有効回答のあった事業所の業種別の内訳は以下の通りである。
表1.業種別の回答事業所数
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建設土木
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橋梁、住宅、土木、プラントエンジニアリング 他
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食品・薬品・化学
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食料品、医薬品、化学応用製品(洗剤、化粧品) 他
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素材
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紙、パルプ、繊維、鉄鋼、非鉄金属、シリコンウエハー、合成樹脂 他
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金属製品
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金属加工製品、建材 他
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機械
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工作機械、建設機械、自動機、ボイラ、ロボット 他
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電気機器
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重電、家電(テレビ、洗濯機、掃除機、冷蔵庫等)、通信設備 他
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自動車関係
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自動車、自動車用部品 他
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電子機器・部品
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パソコン、家電(AV関係)、半導体、光学用単結晶、デバイス 他
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輸送機(除自動車関係)
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船舶、フォークリフト、鉄道車両 他
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精密機械
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時計、OA機器(コンピュータ除く)、カメラ、ミシン 他
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その他製造業
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スポーツ用品、音楽用品、アパレル、住宅設備、通信、ソフト 他
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不明
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開発設計・技術部門の人員の変化は、「 特に変化なし 」が 46.2%を占めている。また「 特に変化無し 」の比率を前々回調査(1988年)からのトレンドで見ると、約 1.5倍に増加している。 |
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開発設計・技術部門の人員の変化は、「増加した」が 38.6%、「変化なし」が 46.2%、「減少した」が 15.2%であり、全体的には人員増加傾向にある。
人員の変化の程度は「年率 5%程度の増加」が 27.4%、「年率 5%程度の減少」が 13.7%、となっており「特に変化なし」の 46.2%を加えると、87.3%の企業が年率5%程度の変化の枠内に収まっている。
前々回調査(1988年)からのトレンドで見ると、「特に変化なし」が 29.7%から46.2%と増加している一方で、「年率10%程度増えている」は 20.0%から 8.7%と半減しており、開発設計・技術部門人員の変化は緩やかになって来ている。
また、今回の調査値を業種別に見ると、電子機器・部品や機械、精密機械と言った業種で人員増加が目立っているが、全ての業種で年率5%程度の変化枠内に収まる企業がほとんどとなっている。
売上高に対する研究開発投資額が5%未満の事業所が、全体の74.1%を占めている。 |
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売上高に対する研究開発投資額が3%未満の事業所が、47.5%と全体の半数近くを占めている。3〜5%未満の事業所は26.6%であり、全体の74.1%の事業所が売上高に対する研究開発投資比率は5%未満である。
3%未満の事業所が多い業種は、建設土木・輸送機(除自動車関係)・素材 等のいわゆる個別受注産業が目立っている。
8%以上10%未満では精密機械、10%以上では電子機器・部品といった半導体関連や食品・薬品・化学と言った業種であった。これらの業種は研究開発型業種と言える。
総売上高に対する新製品売上高比率が40%以上と回答のあった事業所が27.2%と最も多数を占めた。 |
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注:ここでは、新製品とは過去5年以内に開発された製品と定義している。
設計者一人当たりのオフィス面積は、5〜6uに分布のピークがある。 これは全体の約23%を占めている。全体平均は、10.9u/人となっている。 |
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今回の調査では、設計者一人当たりのオフィス面積は、5〜6uに分布のピークがあり、全事業所数の約23%を占めている。全事業所の平均は、10.9u/人であった。
前回調査(1994年)でも5〜6uに分布のピークがあった。分布の傾向もほぼ同様である。
前回調査での全事業所平均は、9.5u/人であった。
平均値で比較してみると、今回調査では、前回より若干一人当たりの面積が広くなっている。
「設計技術解析スタッフ」「企画スタッフ」「研究試作スタッフ」「機能/品質評価スタッフ」など、専門技術をベースに開発の一部分を担う“エンジニアリングスタッフ”は、40〜60%程度の事業所で専任化されている。 |
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「知的財産スタッフ」が85.3%、「規制/規格スタッフ」が72.0%、「システム化推進スタッフ」69.4%と専任スタッフ化しているところが多い。
「設計技術解析スタッフ」「企画スタッフ」「研究試作スタッフ」「機能/品質評価スタッフ」など、専門技術をベースに開発の一部分を担う“エンジニアリングスタッフ”は、50〜60%程度の事業所で専任化されている。 また、「業務改革スタッフ」を専任スタッフ化している事業所は39.5%となっている。
「知的財産スタッフ」、「規制/規格スタッフ」、「システム化推進スタッフ」は多くの会社で専任化されているが、これらは、特許管理、ISOやPLへの対応、IT技術の進歩への対応というように世の中の流れに対応して必然的に専任化が進んでいると考えられる。
一方、“エンジニアリングスタッフ”を専任化するか否かは、その会社の開発に対する考え方・意志によって決まるものである。今回の結果では、半数を越える事業所では、“エンジニアリングスタッフ”が専任化されている。技術が高度化するなかでの開発スピードアップ実現を目指して“エンジニアリングスタッフ”への期待は大きいと思われる。
組織的な革新活動の成果が「開発設計・技術部門全体で着実に成果があがっている」と認識している事業所の比率は29.4%であった。 技術高度化時代の新しい開発設計革新の取組み方が求められている。 |
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開発設計・技術部門強化のための組織的な革新活動の状況を「成果」という視点から把握した。
「開発設計・技術部門全体で着実に成果があがっている」という認識を持っている事業所の比率は29.4%であった。これに対して「思うように成果が上がっていない」という認識の事業所が70.6%であった。
開発設計革新に対する努力や課題意識の醸成ををおろそかにしている企業は少ない。問題はそのグレード(取組み方の水準)である。ますます高い技術が要求される開発設計・技術マネジメントを基本的な前提にすえた革新活動の進め方が求められている。
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