1.必要性と実施結果のギャップは拡大している
コストダウンの必要性〜可能性〜目標値〜構想値〜実施結果の第1回〜第3回での結果を以下に示す。 前回の第2回調査でそれぞれのギャップが小さくなったが、今回またそのギャップが大きくなってしま っている。
2.目標大幅未達企業の7割が原価戦略の充実度が低い
目標達成企業と目標未達企業の差は原価戦略の充実度合の違いで明らかである。本実態調査では、原価戦略の実施度合いについて以下の内容で質問している。
(1)原価戦略の策定状態について
(2)ユニット・部品の共通化計画について
(3)原価開発について
・中期の商品開発計画に沿ったキーユニット・キーパーツの先行技術開発について
・先行技術開発テーマの傾向について
・先行技術開発の行い方について
(4)内外作の構造、決め方について
(5)購買の構造について
(6)生産拠点・生産システムなど内作部分の構造について
・内作部分の生産拠点の選定について
・各拠点への生産システムレベルアップの考え方について
そこでコストダウン目標達成率と原価戦略の充実度合い(上記設問の得点合計)についての分布は以下のようになる。
このグラフでみると、原価戦略の得点とコストダウン目標の関係にばらつきがある様に見えるが、これを以下の様に区分し各々について他のデータを踏まえて考察する。
グループT・・・A群で原価戦略の得点が高いグループ(11点以上)
グループU・・・A群で原価戦略の得点が低いグループ(11点未満)
グループV・・・C群で原価戦略の得点が高いグループ(11点以上)
グループW・・・C群で原価戦略の得点が低いグループ(11点未満)
まず、グループTとUの違いであるが以下の経営動向に関する質問への回答(現在を100とした場合の3年前の数値)を以下の表にまとめてみるとグループUは売上、生産量の低下、粗利率の低下が小さ く、事業環境としてはグループTより恵まれており、追い風とまでいかないまでも、コストダウンそのものがグループTに比べればやりやすいことが考えられる。戦略性を問われない範疇でのコストダウン でもある程度の成果は上げられると思われる。
次にグループVについてであるが、目標値の達成率は低いが、必要値から見ると71.3%の達成率となり、もし必要値とおりの目標値設定をしていればA群やB群となる企業が含まれていることがわかる。また、グループWと比較すると、必要値の伸びと可能値の伸びの間のギャップが小さく、可能値を伸ばしてきていることから、原価戦略面の展開は進んではいるが目標設定等の面での活動のまずさにより目標達成度を下げている状態であると推察される。
また、ABC群それぞれの原価戦略の得点は平均値としては以下の様になった。
A群・・・11.3点
B群・・・10.5点
C群・・・8.2点
この事からもコストダウン目標を達成している企業は原価戦略が充実している傾向にあるといえるが、 満点が20点であることから考えると、今回の実態調査においては、原価戦略面が充実している企業はまだ少数であると言わざるを得ない。
たとえば、設問(1)項で「中期経営計画は概ね見とおせる」と答えた企業が、全体の8.6%とわずかながらあった。これらの企業における原価戦略の点数は、平均で16.7点であり、A群の平均11. 3点を大幅に上回っている。また、原価戦略に関する本設問のほとんどの項目で満点となっており、まんべんなく戦略展開がされていることがわかる。
企業にとっては、中期経営計画の達成が大きなマイルストーンであり、これに向けた原価戦略の充実が肝要である。
提言1 一貫統合型原価戦略の充実が急務
提言2 活動推進を強化し確実に成果を獲得する
提言3 ライフサイクルコストへの本格的な取組みが必要
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