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TPM®
TPMは製造企業の持続的な利益確保のために
継続的に人材育成や
現場改善を
実施する仕組みをつくります。
すぐわかるTPM入門
TPMとは?
TPM(Total Productive Maintenance)は、製造企業が持続的に利益を確保できる体質づくり(儲ける企業体質づくり)をねらいとして、人材育成や作業改善・設備改善を継続的に実施していく体制と仕組みをつくるためのマネジメント手法です。「全員参加の生産保全・全員参加の生産経営」とも呼ばれています。
TPMは1971年に提唱されて以来、国・業種を問わず数多くの工場に導入・展開され(約3,000サイト)、それぞれの企業に大きな成果をもたらしています。
TPMはロスをゼロにする=生産システム効率化を極限追求する!
TPMは「生産システム」のパフォーマンスを最大限に引き出すことを目標にしています。すなわち、最小のインプットで最大のアウトプットを得るように「生産システム」を構築することです。
しかし、「生産システム」にはアウトプットの最大化を阻害するさまざまな要因が数多く存在します(下図)。いわゆる「ロス」です。まずは発生しているロスをなくす必要があります。TPMでは、ロスの排除だけでなく、あらゆるロスを未然防止する仕組みをつくります。この仕組みは、あくまで「現場・現物」でつくり上げます。たとえば、故障しない設備、不良が出ない設備、災害が出ない設備などを実現していくことです。
実現したことを維持してさらに継続的に改善していくためには、「製造部門」だけではなく「生産システム」に関わる「開発・営業・管理」などあらゆる部門にもTPMを適用する必要があります。企業が抱える問題とその解決の方向性は、全社で共有しなければなりません。
そのためにTPMでは、階層別の「重複小集団」という独特の組織管理スタイルをとります。こうした「全員参加型」の経営で動機づけられることで、上位の目標達成に向けて、それぞれの現場が「ロスをゼロにする目標設定と達成」に取り組むことになります。
TPMは下記のように定義されています。
- 生産システム効率化の極限追求(総合的効率化)をする企業体質づくりを目標にして、
- 生産システムのライフサイクル全体を対象とした「災害ゼロ、不良ゼロ、故障ゼロ」など、あらゆるロスを未然防止する仕組みを現場・現物で構築し、
- 生産部門をはじめ、開発・営業・管理などのあらゆる部門にわたって、
- トップから第一線従業員に至るまで全員が参加し、
- 重複小集団活動により、ロス・ゼロを達成する ことをいう
TPMの8つの活動(8本柱)と導入のポイント
TPMの導入とその展開は、社内での具体的な「体制づくり・仕組みづくり」の「活動」となります。標準的なTPM活動は、8つの活動(8本柱)から成り立ち、導入から成果の定着までを段階を踏んで進めていきます。もちろん、8本に限定されるわけではなく、企業の実態に応じて「柱」が追加されたり、逆に自社の状況に合わせて3、4本の「柱」を選択して展開する場合もあります。
「活動」となれば文字どおり「人が動き、組織が動く」ことになります。「今までこうだったから」ではなく「これからはこうやっていくんだ!」という全社的なコンセンサスが必要となります。そのために、実際にTPMを導入するまでの準備段階に十分な時間をかけることが大切です。とくに幹部層への事前教育、推進体制の整備、目標や活動スケジュールの設定などをしっかりと準備しておけば、実際の現場でも「柱」が有効に機能しやすくなります。
8本柱(TPMの主要活動) | 活動内容 |
---|---|
生産システム効率化の個別改善 | 対象職場、ライン、単体設備のロス分析により改善テーマに取り組む。「テーマ選定 → 現状把握 → 目標設定 → 要因解析 → 対象の立案と実施 →効果の確認 → 標準化と管理 → 反省と今後の計画」のようなストーリーに従って改善を展開する |
オペレーターの自主保全体制づくり | 設備がある現場において、作業者1人ひとりが「自分の設備は自分で守る」ことを目的として、自分の設備の日常点検・給油・部品交換・修理・異常の早期発見、精度チェックなどを行う。設備のない部門、手作業の部門においても、職場環境の整備、業務・作業のムリ・ムダ・ムラをポイントに不具合点を改善する |
保全部門の計画保全体制づくり | 専門保全として故障低減、部品寿命延長に取り組み、予備品管理、保全費管理、さらには予知保全体制の確立などを行う |
製品・設備開発管理体制づくり | さまざまな改善情報のフィードバックによるつくりやすい製品開発や、信頼性・安全性・操作性・保全性の高い設備づくりを行う |
品質保全体制づくり | 不良の出ない条件設定とその維持管理によって、不良ゼロ・クレームゼロを目指す活動である。従来のようにできた製品の検査強化により流出防止を図る品質保証ではなくて、工程・設備で品質をつくり込み不良の未然防止を図る |
教育・訓練の体制づくり | 仕事を進めるうえでその職場に必要な知識、技能を整理しスキルの評価と向上を図っていく |
管理・間接部門の効率化体制づくり | 事務所の5Sや事務工数の削減など事務の効率化活動さらには購買、物流在庫ロス削減、営業の売上拡大など効率化と価値創造の活動を展開する |
安全・衛生と環境の管理体制づくり | 生産性に優れた工場でも、災害があり、環境がよくない工場は良い工場とはいえない。「災害ゼロ、公害ゼロ」が従来からTPMでは強調され、さらには「廃却ゴミゼロ」など環境にやさしい生産活動にも展開していく |
TPMは「製造現場」「生産プロセス」「ビジネスプロセス」を変革する
TPM活動を段階的に「製造現場」「生産プロセス」「ビジネスプロセス」へと対象範囲を拡大していくことで、企業変革を実現します。
【変革の第1段階】
製造現場中心の活動です。製造原価に潜在するロスを徹底して排除・予防します。
【変革の第2段階】
生産プロセスの範囲を対象とした活動です。製品原価(総原価)に潜在するロスを関連部門と連携しながら徹底して排除・予防します。
【変革の第3段階】
ビジネスプロセス全体を対象とした活動です。全社キャッシュフロー上に潜在するロスを排除・予防します。
TPMは他のマネジメント手法と融合させることで、さらに効果が出る
企業の目標達成のための手段が1つだけということは、まずありません。ISOによるマネジメントシステムやTQMによる標準化・体系化も役立ちますし、トヨタ生産方式(TPS)が有効な手段となる場合も多々あります。
たとえば、トヨタ生産方式(TPS)を例にとりましょう。TPSによるジャストインタイム生産を成立させるには、「生産設備・ラインで故障やチョコ停が発生しない」「段取り・調整時間を極小化する」「不良ゼロを保証する」などが前提条件となります。これらはTPM活動で実現していくことです。
TPMによるロス・ゼロの維持とさらなる改善は、他の手法との融合でさらに大きな成果を出すことができます。
区分 | TPS(JIT) | TQM(TQC) | TPM |
---|---|---|---|
起源 | スーパーマーケット 方式(プル方式) |
SQC | 予防保全(PM) 生産保全(PM) |
管理の対象 | 在庫 ムリ・ムダ・ムラ |
品質 (製品・仕事) |
設備・人・原単位ロス |
達成手段 | ジャストインタイム 現場現物・儲けるIE |
管理体系化 (システム化・標準化) |
あるべき姿の追求 現場現物・原理原則 |
人づくり | 多能工化 | 管理技術中心 (QC手法) |
固有技術中心 (設備技術、保全技術) |
組織・運営 | 職制 専門スタッフ |
方針管理 QCサークル |
重複小集団、専門部会 ステップ方式 |
目標 | 在庫ゼロ | PPMオーダーの品質 | ロス・ゼロ (災害ゼロ・不良ゼロ・故障ゼロ) |
TPMの商標、ロゴマークは、日本およびその他の国における公益社団法人日本プラントメンテナンス協会の登録商標または商標です。TPMコンサルティングは、株式会社日本能率協会コンサルティングの事業です。