ビジネスインサイツ54
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- 人間集団である組織を動かし成果を出す。それはスポーツの世界にも通じます。毎年、「入団」と「退 団」で常に新陳代謝を繰り返すプロ野球。その中で監督は「チームビルディング」を、選手は「最高の パフォーマンス」を要求されます。お互いに与えられた条件で戦う姿は私たちマネジメント活動にも参 考になると思います。今回の「顔」はプロ野球の選手を経て、BCリーグの監督を務 めたギャオス内藤さんにフォーカスしました。
インタビュー:JMAC大石 誠
新潟アルビレックス・ ベースボール・クラブ前監督
(内藤 尚行:ないとう なおゆき)
ギャ オ ス内藤氏
第 1 回
1968 年 7 月 24 日愛知県生まれ。豊川高等学校から 1986 年ドラフト 3 位 でヤクルトスワローズに入団。1995 年に千葉ロッテマリーンズに移籍、 1996 年シーズン途中に地元の中日に移籍。1997 年現役を引退。2013 年ベースボールチャレンジリーグ(以下 BC リーグ)新潟アルビレッ クス BC の監督に就任し、リーグ記録となるシーズン 52 勝を達成。 2014 年は上信越地区後期優勝を果たすも 2 年契約の契約満了を 以て、今シーズン限りでの退任を発表した。登録名はギャオス 内藤。解説者活動も継続している。
基本を積み重ねるからこそ 強くなれる
環境と雰囲気づくりが 監督の役割
大石 : 2013年からBCリーグ新潟アルビレッ クス BC の監督に就任されましたが、監督 として大切にされていることをお聞かせい ただけますか。 内藤:新潟アルビレックス BC もリーグ優 勝という大きな目標に向かって戦ってきま した。今年は監督として 2 年目ですが、一 戦一戦を大切に全力で戦うことに集中して きました。基本を愚直に積み重ねることが 今のチームに大事なことだと考えていま す。また、BC リーグは地元の企業と、新 潟アルビレックス B C ではファンの方々を サポーターと呼んでいますが、このサポー ターに支えられていますので、応援してく ださる方々に恥じない野球も大切にしてい ます。 大石:チームを運営していくうえでのこだ わりについてお聞かせいただけますか。 内藤:私にとって監督は新たなチャレンジ ですが、チームをまとめること、選手個人 が力を発揮できる環境と雰囲気づくりを心 掛けています。それには選手の技術、個の 力を高めることがベースになり、選手のマ インドを高めることも重要な要素だと監督 になって改めて実感しています。 この技術とマインドの両輪を高めること で個人が成長し、いいチームづくりができ るのです。技術は個人で磨き、その力をグ ラウンドで表現するための環境を作るこ と、気持ちよくグラウンドに上がる雰囲気 を作ることが監督の役割です。そしてマイ ンドの基本は 楽しんで 野球ができるか どうかだと思います。これは2年間で出来 上がったギャオス内藤流です。 我々を見ているサポーターの方々がまた 足を運びたくなるような、そんなチームを 作ることが監督の役割であり、地域や BC リーグの活性化にも繋がると思います。 内藤:実は今年、昨年の主力ピッチャーと、 バッターの柱が抜けました。が、その抜けた 穴を埋めようと今年度のレギュラーメンバー がいいパフォーマンスを発揮してくれまし た。 良く言われることですが、 ホームランバッ ターが 9 人いても勝てません。今年のチーム はそれぞれが適材適所で力を発揮してくれ て、チームが一つになった時のパワーはとて も強いものがありました。一戦一戦を大切に 戦うという考えが選手に少しずつ伝わり、さ らに、 勝つことによってチームが強くなって、 まとまりができた結果だと思います。 野球はエラーの出るスポーツですから、エ ラーをした後に諦めては駄目で、その後のプ レーが大事です。野手がエラーしたらピッ チャーがいいピッチングをしてカバーすれば いいのです。泥臭くても、形が悪くてもアウ トはアウト、そういった基本を積み重ねてい くことでお互いを補い合えるチームになって いったと思います。そして、我々の野球に対 するこういう姿勢も含めてサポーターが応援 してくれていると思っています。
勝つことでチームは 強くなれる
大石:今年の成績を見ると、個人成績上位 は少ないですが、チームの勝率は高いです ね。どのような内藤流のチーム作りをされ たのでしょうか。
大石 誠の
チームを構成する上で大切なのは、 「うまい9人」ではなく「しなやかでうまい9人」で はないかとインタビューを通じて感じました。グラウンドで全員が泥臭くてもアウト一つ
ここが
Point
を取りにいける姿勢。これがギャオス内藤流チームビルティングの基本スタンスだと理解 しました。そのために「技術」だけでなく「マインド」にも気配りしているギャオス内藤 監督の姿はこれまで露出していた監督のキャラクターとは異なる印象を受けました。
Business Insights Vol.54 2014年 12月 発行
編集長:大石 誠 編集:石田 恵
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