ビジネスインサイツ71
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- ﹁ 戦後の日本はまだ衛生環境が悪
想 像でき な かった 自 然 破 壊の実 態
く︑感染症は大きな課題でした︒サ ラヤは赤痢予防のための手洗い薬用 石けん液とディスペンサーを開発 し︑ 供給すると同時に︑ 職場や学校︑ 公共施設を起点に︑日本全国に〝 手 サラヤは創業から一貫して︑衛生・ 環境・健康を向上させるためのビジ ネ ス を 展 開 し て い る 企 業 で あ り︑ 指衛生 〟 を普及させました︒これは︑
SDG sの の目標に置き換えれば
の ﹃ 保健 ﹄ や の ﹃ 水・衛生 ﹄ に該
﹁ジャ 2017年には外務省の第 回 つまり ﹁持 しかしサラヤのSDG s︑ 続可能な開発目標 ﹂ への取り組みは︑
当するといえます ﹂ ︵ 代島さん ︶ ら持続可能な社会を志向していたと いうことになる︒ しかし︑2004年に会社の存続 が危ぶまれる出来事が起きる︒会社 の主力商品である ﹁ヤシノミ洗剤 ﹂ の
を受賞した︒ つまり︑サラヤの理念は創業時か パンSDG sアワード﹂
1952年までさかのぼる︒
に瀕しているなど想像もしていなかっ 原材料供給地のひとつである︑ボル ネオでの世界的な需要にともなうア ブラヤシ農園の拡大による野生生物 の危機が︑テレビ番組﹁ 素敵な宇宙 船地球号 ﹂ ︵テレビ朝日系列 ︶で取 り上げられることになったのだ︒ ﹁ 社長には︑番組の出演とコメント を求められました︒ボルネオからア ブラヤシを原料にするパーム油を購 入している企業はたくさんあるので すが︑どこもコメントを辞退したよ うで︑ 当社もたいへん悩みましたが︑
「ヤ 1971年に誕生した シノミ洗剤 」は半世紀 近いロングセラー。手 肌と環境にやさしい商 品としてサラヤのシン ボリックな商品であり、 SDGs の取り組みの象 徴ともいえる。
をおく企業として初めて参加を表明︒
原料のヤシ油に殺菌成分を配合 し、手洗いと同時に殺菌・消毒の できる石けん液「パールパーム石 けん液 」と、液を衛生的に供給す る容器「 押出・押上式 」石けん容 器を開発、発売した。
た︒しかし︑番組出演をきっかけに
象の 保 護 活 動 を 始 め た︒さ ら に 翌
社長︵ 更家悠介氏 ︶自らが現地に視
2006年には︑サラヤの支援金に
察に行き︑現状を目の当たりにした︒
より︑マレーシア・サバ州にボルネオ
︵ 持続可能なパー 翌年にはRSPO
保全トラスト事務局が設立された︒
ム油のための円卓会議 ︶ に︑日本に籍
﹁ボルネオ保全トラストはアブラヤ
シ農園によって失われた熱帯雨林だ
った土地を買い戻し︑野生生物が行
き来できる﹃ 緑の回廊 ﹄を回復させ
る 計 画 な ど を 行 っ て い ま す︒
﹁ヤシノミ洗剤 ﹂ 2007年 月から
をはじめとする対象商品の売上の
5
%でボルネオ保全トラストを支援す
21
社長は出演を決めました︒会社が
るというコーズマーケティングを開 世紀に生き残るための新しいビジネ スモデルづくりのきっかけにしたか ったのです ﹂ ︵同︶ そもそも︑ボルネオの生物が危機
始しました︒
1
サラヤは日本で初めて、RSPO ( 持続可能なパーム油のための 円卓会議 )への参加を表明。RSPO 認証のパーム油をいち早く 商品に取り入れた。
アブラヤシのプランテーション拡大により、絶滅危惧種だった ボルネオ象を守るためのボルネオ保全トラストを設立。
3
17
1
6
RSPO-1106041
商品をつくるために不可欠なパー
ム油の持続可能な調達のために︑ビ
ジネスと環境が共存できるしかけを
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Business Insights Vol.71
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