ビジネスインサイツ JMAC40周年記念特別号
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- 経営者が考えるグレート ・ リセット
ュニケーションのストレスも起き ています︒それにより︑対面コミ ュニケーションの重要さに気づか されました︒まずは︑オカムラの 中村さんにお聞きします︒これか らのオフィスとの位置づけはどう 変わるとお考えでしょうか︒ 中村 今後は︑売り上げや利益に 直接関係のない仕事はなくなると 思います︒たとえば余計な資料づ くりや統計づくりなどの業務のこ とです︒そのうえで︑大切なこと は ﹁ 三人よれば文殊の知恵 ﹂ です︒ 人が集まり議論をして︑新しいも のをつくり出す︒それがオフィス 機能で一番重要なことだと思いま す︒人間の脳にはミラーリングと の表情を見ながら議論して︑新し い発想をしていく︑これがビジネ スには重要ではないでしょうか︒ 以前に︑ニューヨークのノーベ ル賞受賞者を二十数名輩出してい るロックフェラー大学へ行く機会 がありました︒研究室に囲まれた 真ん中のエリアにコラボレーショ ンルームという部屋があり︑研究 ると考えています︒ 松田 ありがとうございます︒で はIIJ の鈴木さん︑リモート ワークのメリットとデメリット を︑ どのようにお考えでしょうか︒ 鈴木 コロナ禍で︑人が接触せず に働くためにはリモートという働 き方は欠かせないと思います︒一 方で︑リモートで従来の働き方を すべてカバーできるかというと︑ そこには﹁コラボレーション﹂が 不足していると思います︒ のような場になっていく必要があ ました︒オフィスというのは︑そ で気づきを得るということを伺い いの研究の悩みなどを話し︑そこ
コーヒーを飲みにくる︒そこで互
スで働くこととは違った意味で有
デジタル技術を導入して︑人が毎
効なことだと思います︒遠隔で十
日働かなくても稼働できる環境を
分な仕事もあります︒しかし︑直
つくるかが課題となりました︒以
接会ってディスカッションする︑
前から必要性を十分認識していま
おかしなことにお互いの顔やから
したが︑今回のことで拍車がかか
だ全体で笑い合うなど︑五感の触
った︑という状況です︒
れ合いも含めて人と会うことが︑ 創業者の言葉で︑ ﹁ 暗い工場を
最終的な意思決定のカギになると
つくろう﹂ というものがあります︒
思います︒リモートとオフィスで
最初は︑ ﹁ 暗いというのはどうい
の仕事をどう組み合わせていくか マではないでしょうか︒
う意味だろう ﹂と思いましたが︑
が︑今後のワークスタイルのテー
そ れ は 究 極 にF A︵ フ ァ ク ト リ
ー・オートメーション︶化された
工場や営業現場の働き方は どう変わ っ ていくべきか
工場のことでした︒朝︑技術者が
出社し︑ボタンを押すと機械が動
き出す︒その後︑技術者はその場
松 田 Y K K の 大 谷 さ ん︑グ ロ
を離れることができ︑人がいない
ーバルに展開されている工場の変
工場に照明をつけ続ける必要はな
いう機能があるそうですが︑相手 私がインターネットという技術
化についてお聞かせください︒
くなる︒そのような工場を意味し
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に関心をもち始めたのは 年代の 末︑事業を始めたのは︑ 年代で す︒ネットの利用で無数のメール 経由の知人ができ︑仕事も短期間 に世界的な広がりを持てるのです が︑ 最後の意思決定では︑ 必ず ﹁相 手の顔を見てからにしよう ﹂とな る︒それだけ直接︑人と会うとい うことの情報量は大きい︒
大谷 ファスナーをはじめとする
ています︒ 年前は﹁それは不可
弊社の事業は︑日本では %ほど
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能でしょう﹂ という時代でしたが︑
しか商売をしておりません︒残り
この数年におけるデジタルテクノ
はすべて海外で行っており︑コロ
ロジーの進化は目覚ましいものが
ナ禍においてほとんどの国がロッ カ国 地域に
あ り ま す︒究 極 にF A 化 さ れ た
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クダウンに追い込まれました︒
工場を実現できる世の中になって
の事業会社が
いると思います︒こういうときだ
現在ありますが︑ほとんどの会社
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からこそ︑スピード感を持って︑
で事業ができなくなりました︒
FA 化を今やらなければいけな
者が疲れると︑ 三々五々集まって︑ リモートでの働き方は︑オフィ そういった中で︑工場はいかに
い︑という思いを世界中の社員と
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JMAC 40th Anniversary
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