第5回 先の見えない時代、改革は必須となる!戦略の実現に向けたビジネスプロセス改革

ビジネスプロセスをリデザイン! 事業戦略を実現するBPR

事業戦略を反映! 顧客視点のビジネスプロセス改革

一般的に“BPRはゼロベースで考える”といわれるが、まったくのゼロでは先に進まない。リセットして先入観をなくすことは大切だが、基礎となる“ものの見方”は必要だ。「それが顧客視点です。“事業戦略の実現のため”BPRを行うので、ビジネスプロセスも事業戦略をもとにして考え直します。事業戦略とは“どんな顧客にどういった製品を提供するか”、それを“どのような手段で他社と差別化していくか”ということです」ビジネスプロセスというと、営業や開発、生産といった企業の機能単位として受け取りがちだが、JMACの定義は異なる。「顧客にとって、大事なことは自分たちのニーズをどれだけ満たしてくれるのかということです。たとえば、なによりも品質を重要視する顧客Aがいるとします。一方で、納品までの期間をもっとも重く見る顧客Bがいるとします。どちらをターゲットとするのかで、改善案の内容は大きく変わってくるでしょう」もちろん、高品質で安価、短期間での対応と何もかも兼ね備えているに越したことはない。だが、すべてを高水準でクリアすることが困難である以上、どこに資源を集中し差別化するのかを決め、その実現に向けてビジネスプロセスを見直すやり方が現実的だ。「それをJMACでは顧客視点のビジネスプロセスと呼んでいます。事業戦略とは顧客満足を得ること。だからこそ、この視点でのBPR実施が事業戦略の実現となるのです」それは、事業戦略と現場の改善案を直接結びつける手法なのだ。

成功のポイントは共通認識! 手間を惜しまずにBPRの必要性を説く

飯田によれば、クライアント側では“BPRとは不具合を改善するもの”という認識をもっている例が多かったという。それが“顧客視点のビジネスプロセス”になることで、現場の視点も大きく変わる。「できあがったシステムのなかでは問題がなければ、なかなか根本的な見直しはしないものです。そこで全社的にBPRをしましょうというと、実施内容に警戒心を持つのも当然といえます。事業戦略を実現するために必要だと納得してもらえれば、その後のプロジェクトはスムーズにいきやすいのです」JMACでは、その重要性を考え、時間をかけて全社各部門にBPRの必要性を充分理解してもらい、基本構想の共通化を図るという。「まず経営幹部を中心にした審議会を開きます。経営戦略の確認をしつつ、実現のための事業改革について責任者の面々に積極的な議論をしてもらいます。同じ方向を向いて、意識のすり合わせをするのです」責任者の理解は、そのまま現場の理解につながる。丁寧に広めた共通認識は、プロジェクト成功の必須条件でもあるのだ。「逆にいえば、ここで焦って時間をかけられないと、よい結果は得られないでしょう。このとき効果があるのは、機能別コンサルティングができるというJMACの強みです。改善にあたり、各部門の専門家が責任者たちの疑問や課題を解決したり、アドバイスを行います」部門間の連携によって全体の最適化を図るプロジェクトであるからこそ、個々の部門の納得と積極的な参加なしには実現はできない。

リデザインを実施する ビシネスプロセス再設計の3要素

BPRの必要性を理解し、ビジネスプロセスの再認識を行ったのちには、いよいよ再構築の段階に入る。この作業を、JMACでは“ビジネスプロセスのリデザイン”と呼ぶ。再設計には3つの要素があるという。「建築物をイメージしてもらえば、わかりやすいでしょう。建物のコンセプト(=事業戦略)を決めた後は、設計図が必要になりますね。正面図・側面図・平面図を描けば、骨格を想像できます。それに合わせて、仕様や細かな設計を進めていくわけです」実際、改めて業務設計を考えると、毎日従事しているにも関わらず、何をどうすればよいのかわからずに戸惑ってしまう企業は意外と多いのだそうだ。「これまでの実績から導き出した設計の要素は3つあります。1つめは、社内でやるのか、外部に発注するのかなど業務や組織を決める『機能分担』、2つめは、仕事のルールや手段を決める『業務・情報システム』、最後は、業務を実行する『人材』ですね。なかでも、もっともインパクトがあるのは機能分担の要素です」再設計だからこそ、この過程はリエンジニアリングではなく、リデザインなのだ。
このアプローチによってプロジェクトが進行するが、実際には、クライアントによっては一部の要素には着手済みということもあるという。「合併した企業などでは、途中まで進めたけれど、ここから先がうまくいかないという案件も持ち込まれます。クライアントの状況や要求に合わせて、その辺は随時対応しています」そこでも、相手に合わせて提案を行うJMACの強みが発揮されている。

ページ上部へ