企業を革新する2つの“力” 創造する力と実現する仲間
百年に一度ともいわれる不況にみまわれた現在、あらゆる業界がこれまで以上に変化への対応を求められている。誰もが「今後どうなるのか」と、将来に不安を感じている状況だ。だが、JMACは「どうなるか・どうすべきか」ではなく、企業として「どうしたいか」に焦点を当てることを提案している。
その姿勢が色濃く反映された概念が『イノベーティング・フォース』といえよう。JMACでは数年前から研究課題として取組みはじめ、2007年にはフォーラムもスタート。今年2009年で3回目の開催を迎えた。イノベーション、つまり創造的な技術革新や事業開発を続けていくことは、どの企業にとっても重要な課題だが、さらに、そこで“フォース”と命名した理由には、大きな意味があると鈴木はいう。「この“フォース”には、イノベーションを起こす原動力となる“力”と、イノベーションに共感する“仲間”の2つの意味がこめられています。現状のような厳しい環境を乗り切るには、共感する仲間と共に力を高め合うことで、難局を乗り切っていくことが必要だと考えています」
この考えに立ち、先日行われた第3回のフォーラムでは『イノベーションで突破する!』という基本テーマを掲げた。「第1回フォーラムでは『魅力価値を創造する』、第2回では『イノベーションが始動する』というテーマで、イノベーティング・フォースの有効性や考え方、目指す方向性をお伝えしてきました。今年は、いよいよ実施段階に入ったということで、イノベーションを実現する力の重要性を訴えるとともに、仲間によって状況を打開していこうというメッセージがこめられているのです」
事実、このフォーラムへの関心は高く、開催ごとに参加人数は増加している。地方の大都市でも開催のリクエストが寄せられているという。そこには、昨今の経済状況によって、イノベーションの必要性がよりいっそう高まっていることも関係している。イノベーティング・フォースへの期待は高く、フォーラムの反響に鈴木は強い手応えを感じている。
不況の今こそ抜本革新を! 大きな変化を実現する絶好の機会
魅力的な価値を創造するために、企業ではすでにさまざまな改善や取組みを行っている。しかし、その現場では停滞感が漂っているケースも少なくない、と塚松は指摘する。「いろいろとやってきたにはやってきたが、冷静に振り返ってみると10年前と比べて、あまり大きくやり方は変更されていなかったということは珍しい話ではありません」この状況は、革新を起こすことのできる人材が企業のなかで不足しているという事実を示している。
「不況の時期こそ、こうした大きな革新、つまり組織や部門の役割、手法そのものを刷新する抜本的な革新を実行に移す好機でもあるのです。企業は、うまく稼働しているときには、やり方を大きく変えることはなかなかできないものです。また、時間的な余裕を持てないという物理的な事情もあります」(塚松)
革新を先送りにしていると、意外な落とし穴にはまってしまうことがある。塚松によると、長く革新をしないでいる組織は、抜本改革をする重要性と、実現するための方法を“忘れて”しまうというのだ。「10〜15年、抜本革新をしない組織は、革新の能力が低下してしまいます」不況時こそ、これまで後回しにしてきた企業の足腰を鍛えることができる時期だといえる。
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