イタリア企業の個別化と創造性モンタナーリはこれまで、中規模企業の競争力を高めるための支援を行ってきた。「イタリア企業は、ニーズをつかんだ個別化の強みのほかに、さまざまな問題解決に取組める創造性をもっています。イタリアで創造性というと、デザイン面が思い浮かぶでしょうが、この創造性は製造の現場でも発揮されるものです。たとえば、ある企業の大きなプロジェクトでビジブル・プランニングを導入したのですが、あまり効果が出なかったことがあります。原材料の納期、情報の収集などさまざまな項目を模造紙に書き込んで、掲示板として貼り出しました。これはごく標準的なフォーマットで、他社で成功した実績のあるものでしたが、2週間しても、その掲示板が使われることはほとんどなかったのです。これはおかしいということで、聞き取りをしたところ、実はその企業では使うことがない項目ばかりだったというのです。そこでフォーマットを根底から見直し、その企業の現状に合った、実用性の高いものに変更し、その後は、活発に使用されるようになりました」新たな問題が発生したとき、どうしたら解決ができるのか、どの部分をどのように変えたら目的を達成できるのか、そうした課題にも創造性は発揮されるとモンタナーリはいうのだ。仕様変更や新たな依頼にNOといわず、どうにかして解決の道を見つけようとする。彼が、イタリア人を“職人的”という部分は、こうした気質が関係しているのだろう。日本企業との意外な共通点がかいま見える。「もちろん、企業がデザインを重要視する傾向が比較的強い、という創造性の高さも、確かにあります」 グローバリゼーションも具体化段階に 最前線で動きを感じるグローバル化の流れは、もはや止めることはできないだろう。モンタナーリは、単に言葉のうえではない、具体的な動きを肌で感じ取っている。「JMACミラノでは、これまでもグローバル化を推進するプロジェクトを支援してきました。現在の感触は、以前に比べてもっと現実的な必要性に迫られ、さまざまな企業が対応せざるを得ないという印象を受けています」ヨーロッパにあるJMACの拠点では、コンサルティング技術の研究を目的とした会議をしばしば開いている。交流に加えて、技術開発をどのように共同して行い提案していくかなどを検討している。そこでも、今後の国際化と統合、競争力の問題が話し合われ、革新の重要性が再認識されたという。「JMACのヨーロッパ拠点のなかでも、今まで手がけてきた分野とは違う業界に、私たちが持っているソリューションで問題解決を提案できるという話になりました。たとえば、サービス業などがそうですね。特にイタリアでは製造業と違って、公共機関や医療機関、金融機関というのは、あまり効率化の対象とはなっていませんでした。つまり、ニーズがなかったのですが、これからは状況も変わってくると見ています」サービス業界へのコンサルティングは、日本でも新たな展開の手応えを感じている部分でもある。 国や文化、世代の差は重要なヒントに 新しい可能性を見いだすグローバル化の反面、1つの国のなかでも地方によって文化や気質的な違いが生まれることはよくある話だ。イタリアでも、北イタリア、中部イタリア、南イタリアでは、気質がかなり異なるという。「こうした違いは、かなり明確に出ています。たとえば、北イタリアでは新しいものを取入れるのに熱心で、すぐに始めようという風土があります。スピード感があるんですね。けれど、南になっていくと、もっとのんびりした雰囲気になります。ある企業で、異なる地方拠点に導入するときは、同じやり方はせず、説明の仕方や頻度など方法を変更して対応します。また、同じ手法でも、現地支店で自分たちに合うよう、状況に応じて改善することが多いですね。こうした変更に対して、コンサルタント側にも柔軟性が必要です」 |
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