ビジネスインサイツ50
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毎回、革新、成長を続けている企業のトップに 経営哲学や視点についてお話しを伺います。 インタビュアー:JMAC
代表取締役社長 鈴木 亨
「言行一致」でお客様の 新たな価値創造・課題解決へ
富士ゼロックス株式会社
~目指すは信頼されるエクセレントカンパニー~
希薄になった「お客様」と 「モノづくり」の視点
鈴木:まず初めに、山本社長ご自身が長く技術系部門でご 経験されてきたことや、組織をまとめる上でのご苦労など お聞かせください。 山本:2012 年度創業 50 周年を迎えた当社ですが、もとも とは販売会社でした。米国ゼロックス社が持つ優れた技術 とレンタル方式という新しいビジネスモデルで、日本の成 長路線と共に当社も右肩上がりで成長してきました。その 間、とにかく目まぐるしかったのが技術革新です。アナロ グからデジタルへ、 デジタル分野もモノクロからカラーへ、 そしてネットワーク化へ。さらに Windows 95 の登場で 誰もが PC を持つ時代が到来します。インターネットが急 速に普及し、 近年はクラウド、 モバイル機器との連携など、 新しい ICT との融合で、技術革新が今なお相当なスピー ドで起き続けています。 私も開発生産部門で最終的に専務として全般を掌握しま したが、入社間もない時分を思い起こすと、会社の規模も それほど大きくなく、知識レベルも今と比べれば浅いもの の、多くのことを広く調べないと開発ができなかった。つ
まり多能工的な仕事をしていたわけです。サプライヤーや 顧客のところに行って、どうやったら構想を実現できるの か、市場を創りだしていけるのかということを一緒に話し 合い、 上流から下流まで全方位でカバーしていたわけです。 しかし、 今は規模が違う。 さまざまな機能を多くのメンバー で分担し、細分化しながら開発を進めています。専門領域を 担当する優秀な人材はいるんですが、方向性が明確に共有で きていなかったり、チーム力も発揮しきれていなかった。 当時はこれから東南アジアという時代。すでに日本は成 熟国でしたから、時流はカラーへと移行していたんです。 一方、東南アジアを見ると、市場はまだまだモノクロの時 代。そういう状況にも関わらず、技術者の多くはモノクロ マーケットに興味を持っていなかった。ローエンド、ハイ エンド市場いずれの対象商品も偏りなくやっていく必要が あったのに、それができていなかった。結局、業務の細分 化によって、 「お客様」 と 「モノづくり」 の視点が希薄になっ ていたんです。
「本来のモノづくりの在り方」 に立ち返る
鈴木:まず社員の意識改革に取組まれましたが、その過程
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