ビジネスインサイツ50
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創 業 : 1962 年(昭和 37 年)2 月 20 日 資 本 金 : 200 億円 従業員数 : 45,040 名(2013 年 3 月期 連結) 主な事業内容:複合機、プリンター等の製造・販売ならび に業務の生産性向上やプロセス改革を支援 するソリューション事業
富士ゼロックスは 2008 年、前年に社長に就任した山本氏 のもと、 「複写機からの卒業」を宣言し、ソリューション ビジネス事業へと大きく舵を切った。 “モノ売り” から “コ ト売り”へ。顧客を取り巻く IT、コミュニケーション環 境が変化する中、 大胆な事業変革をどのように行ったのか。 その具体的な方針やアプローチについて山本社長にお聞き した。
山本 忠人
で、 「プレジデント塾」 というユニークな活動をされていらっ しゃいます。この活動の狙いをお聞かせいただけますか。 山本:当時はカンパニー制を敷いており、私は開発生産カ ンパニーの社長をしていました。前述したように、今の状 況ではダメだという思いがあり、この先、核となる優秀な メンバーを選び出して、徹底的に教育したんです。いわゆ る QCD など、そういうことは一切しませんでした。例え ば、わが社が置かれた状況や、どこにどれだけ無駄がある とか、在庫やサプライチェーンの問題、顧客満足度などに 重点を置き、 「本来のモノづくり」の在り方に立ち返り自 ら考える力をつけてもらうのが狙いでした。常に新しいも のを追求し、技術競争で忙殺されていた彼らからすると、 目から鱗だったと思います。 それを何期か繰り返し、その一期生が部長クラスになろう としています。現在、開発生産は非常によくなっていますし、 競争力を持てる商品ができるようになったと自負しています。 ソリューションビジネスへと大きく事業転換された背景や その際のご苦労についてお聞かせください。
代表取締役社長
山本:50 年前は複写機そのものにパワーがありました。 当時は PC なんてないですから、黒電話と複写機、あって も計算機という時代です。それこそ複写機はビジネスマ シーン。会議一つにしても、コピーしてレジュメを配り、 書き込みすることで記録もでき、折り畳んで持ち運ぶこと もできる。短時間に情報を伝達することが可能になり、コ ミュニケーションを飛躍的に向上させました。 しかし、今は取り巻く環境が違います。紙を主体とした コミュニケーションは、かつて 50 年前のお客様が考える バリューと大きな差があるのです。今までと同じことや、 その延長線のことをやっていてはダメだという思いから 「複写機からの卒業」を宣言しました。 社内でのコミュニケーションは「紙」だけでなく、例え ば会議の場や E メール、今ではさまざまなモバイル機器 など多種多様な媒体があります。 「紙」 という顧客のコミュ ニケーション環境、価値創造環境の一端だけを担っていて も、真の意味で価値創造をするための情報環境構築にはな りません。環境構築をするためには、ネットワークやサー バー、クラウドの立ち上げといったシステムインテグレー ション的な役割が求められるようになってきたのです。事
Tadahito Yamamoto
複写機からの卒業! ソリューションの富士 ゼロックスへ
鈴木:2008 年に「複写機からの卒業」を宣言されました。
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