ビジネスインサイツ54
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毎回、革新、成長を続けている企業のトップに 経営哲学や視点についてお話しを伺います。 インタビュアー:JMAC 代表取締役社長 鈴木 亨
〜リコーの未来を変えた「構造改革」〜
リーダーに必要なのは 「揺るがぬ信念」だ
株式会社リコー
内向きの仕事をやめて、 外に行きなさい
鈴木:近藤会長はもともと技術者で、御社がアナログ複 写機をデジタル複合機へと転換させたときの技術・製品 革新の牽引者としてリーダーシップを発揮されてきまし た。技術者である近藤会長が経営のトップに就任された ときの心境の変化や決意をお聞かせください。 近藤:企業は、利益を上げるためにいろいろな指標を設 定し、管理しがちですが管理は最低限にすべきだ、とい うことが技術者時代の率直な印象でした。 私自身、ひとりの技術者として、そしてその後にデジ タル商品開発の総責任者としていくつかの事業部を統括 してきた中で身を以て感じていたのは、組織は大きくす ればするほど、動かなくなり、効率が悪くなるというこ とです。社内管理のための仕事ばかりが増え、顧客価値 を生み出す仕事ができなくなってしまっているというこ とですね。効率よく組織を運営するためには、管理では なくて随所にリーダーを配置して任せることが大切であ ると学びました。 この経験から、社長就任前より管理のために膨大なエ ネルギーが使われ、利益を生まない内向きの仕事ばかり
していることを、なんとかやめさせなければいけないと 強く感じていました。実際に私が社長に就任したときの 第一のメッセージ「内向きの仕事をやめて、外に行きな さい」には、このような思いが込められているのです。 企業はトップの考え方、やり方ひとつでどんどん内を向 いてしまうのか、外向きにパワーを出していくのか大き く変わります。まずはトップからのメッセージの発信が 非常に大事だと思います。
世界的な景気後退をきっかけに 仕掛け直した構造改革
鈴木:まさに内向き指向の社内を外向きに変えていくと いう思いを持って社長就任以降様々な活動をされたと思 いますが、就任当時の御社の状況はどのようなものだっ たのでしょうか。 近藤:2007年度は過去最高となる1,800億円を超える営業 利益を生み出し、かなり好調でした。しかし、実状は為 替に助けられていた部分も大きかったのです。グループ の収益を支える新規事業がなかなか育たない状況で、国 内外での業績の先行きにも不安があり、内向きの施策で 効率をあげようという体質になってしまっていました。
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