ビジネスインサイツ55
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- 人間集団である組織を動かし成果を出す。それはスポーツの世界にも通じます。毎年、「入団」と「退 団」で常に新陳代謝を繰り返すプロ野球。その中で監督は「チームビルディング」を、選手は「最高の パフォーマンス」を要求されます。お互いに与えられた条件で戦う姿は私たちマネジメント活動にも参 考になると思います。今回の「顔」はプロ野球の選手を経て、BCリーグの監督を務 めたギャオス内藤さんにフォーカスしました。
インタビュー:JMAC大石 誠
新潟アルビレックス・ ベースボール・クラブ前監督
(内藤 尚行:ないとう なおゆき)
ギャ オ ス内藤氏
第 2 回
1968 年 7 月 24 日愛知県生まれ。豊川高等学校から 1986 年 ドラフト 3 位でヤクルトスワローズに入団。 1995 年に千葉ロッ テマリーンズに移籍、 1996 年シーズン途中に地元の中日に移籍。 1997 年現役を引退。2013 年ベースボールチャレンジリーグ (以 下 BC リーグ)新潟アルビレックス BC の監督に就任し、リーグ 記録となるシーズン 52 勝を達成。2014 年は上信越地区後期優 勝を果たすも 2 年契約の契約満了を以て、今シーズン限りでの退 任を発表した。 登録名はギャオス内藤。 解説者活動も継続している。
創造力を持て!
自分ごとで考えるから 成長する
大石:チームプレーは個人の成長がチーム の成長にも繋がりますが、個人の成長に欠 かせないことはどのようなものでしょう か。 内藤:私はスポーツ選手で一足飛びに上手 くなる選手はいないと思っています。たと え今日試合に勝ったとしても、その中で防 げるミスがあったらそれを無くす練習を し、日々次に繋がることを各自が考えて努 力することが成長に結びつくと思います し、選手にもそのように伝えています。 試合でミスをしないために練習を重ね試 合に臨むのは当たり前の事、さらに、自分 に足りないものは何か、不得意を克服する 方法は何かを自ら考えて徹底的に練習する くらいでないと人より秀でることはできま せん。うちはどこの球団よりも全体練習の 時間が短いのですが、与えられた練習で満 足してしまう選手もいます。結果を出す選 手は、やっていないように見えてもどこか で練習しているものです。私もこう見えて 選手時代は影で誰よりも負けないくらい練 習をしていましたしね。 個々が強い気持ち、 高い意識を持って取り組むことが成長の鍵 だと思います。 内藤:前回のお話しの中で「野球はエラー の出るスポーツ、エラーをした後のプレー の方が大事」と言いましたが、それは、ひ とつの出来事に対してどれだけ想像力を働 今の選手は足も速いし、バッティングも 守備もうまい。皆ベースの才能はいいもの を持っています。 もっと個の力を強くして、 プロ野球を目指せるような選手になっても らいたいと思います。プロ野球に行ったら 同じようなレベルばかりですから、自分の 強みを知ってそれを磨き、自らを律して動 くことの出来る人がプロになれるのではな いかと思います。 どんなことでも無駄な経験はありませ ん、全てを自分のものにするくらいの貪欲 さが必要だと思います。 かせることが出来るかと言うことです。自 分や、仲間がミスした後に何ができるのか と瞬時に考える。同じようなミスのパター ンはありますが、勝っているのか負けてい るのか、 初回か 9 回なのか、 アウト数、 ボー ルカウント、さまざまな場面で何通りかの シナリオを考える力を持たなくてはなりま せん。グラウンドで同じプレーは2度とな いですから、個人が瞬時にどう判断し、決 断して行動に移せるかその積み重ねがプ レーの幅を広げ、チーム力アップに繋がっ ていくのです。これは日々の地道な努力の 積み重ねでしか培うことが出来ないことで す。 そして、グラウンドは選手にとって最高 のステージです。監督は気持ち良くプレー ができるようにアドバイスし、送り出すだ けです。そこでどんなパフォーマンスをす るか、そういったアピール力も合わせて身 に付けてもらいたいですね。
脳の瞬発力が プレーの幅を広げる!
大石:では、チームが成長する上でのポイ ントはどのようなことがあるでしょうか。
大石 誠の
「現役時代、誰よりも練習した」とギャオス内藤監督。そしてプロとして結果を出すた めに球団の練習メニュー以外に自ら考えた内容で練習したうえで試合に臨むことも 当
ここが
Point
たり前 とのコメントが印象的でした。明るいキャラクターでファンを魅了し続けて いたのも、こうした地道な積み重ねによる自信があったからだと理解しました。 段取り8分 これは私たちビジネスの世界でも基本であり大切な姿勢だと感じました。
Business Insights Vol.55 2015年 2月 発行
編集長:大石 誠 編集:石田 恵
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