ビジネスインサイツ57
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ナガセケムテックス株式会社
日本企業において、生産性改善活動は職場の小集団活動として 現場の困りごとを改善し、生産性向上という成果創出を自分た ちの手で行う活動として取り組まれてきた。ナガセケムテック ス株式会社では、全社活動として全員参加、現場社員の意識改 革、現場による改善成果創出をキーワードとして、従来の生産 性活動から枠を広げ、ベテランから若手への世代交代という課 題にも取り組んでいる。その背景や思い、活動を通した現場の 変化、今後の定着化に向けた活動についてお伺いした。
常務取締役
森田 悟
Satoru Morita
フェーズへと活動を推進させた。 実行フェーズから現職となった、取締役 播磨事業所長 志水 修三氏は「工場では以前から改善提案活動を15年位 続けており、今でも年間1000件以上の改善提案が出てき ますので、この点はうま く定着していると思って いますが、さらなる合理 化やコストダウンを目指 した生産改革に会社とし て取り組む必要があると
て次の自分たちの文化を作っていく、そんな活動だと捉 えていました。そのため石原部長に専任の推進役となっ てもらい、社長からも全社活動としてのコメントを出し てもらいました」とGTM活動を全社プロジェクトへと 拡大した思いを語る。 組織として人材のローテーションを行いながら、合わ せてGTM活動を通した多能工化や、他部署の仕事を知 ること、見えていない問題点の顕在化など、気づきの感 性を研ぎ澄ませてもらいたいという思いが込められ全社 プロジェクトがスタートした。
▲ 志水 修三 氏
も思いました。我々の規
模に合った、地に足の着いた活動にしたいという思いが あり、小さくても成功体験を積み重ね、メンバーが自信 を付けて成長して欲しいと考えました。活動を通して改 善が促進し、ものづくりの一体感を感じて欲しいとも 思っていました」と数値の成果と合わせて職場に浸透し た活動を目指していたと語る。 常務取締役 森田 悟氏は「私が2014年に播磨事業所に赴 任した当初、GTM活動は非常にいい活動だと思いまし たが、生産本部内だけでは活動の幅が狭くなってしまう とも感じました。他部門と協力し垣根を取り払いながら 進めなければならない改善もありますので、きちんと全 社プロジェクトとして立ち上げて定着させる必要性を感 じました。検討の段階では投資対効果という議論もあり ましたが、合理化で成果も出しながらメンバーが成長し
改善経験も違う忙しい現場 反応や成果も様々
日々お客様のオーダーに応える忙しい現場の反応はど うだったのだろうか。大型装置を使用し、改善活動の経 験も豊富なベテランも多い、機能化学品事業部 生産第一 部 部長の森本 正志氏は「機能化学事業部(以下機能化 学)では従来から安全生産体制推進、不良生産の低減、 作業環境の改善、合理化という4本柱の活動を推進して きましたので、改善を推進する土壌はありました。活動 は経験のある班長クラスを中心に進め、合理化案を着実 に進めることができましたが、日々改善を進めていたこ ともあり、改善成果として現場内で出来る範囲の内容が
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