ビジネスインサイツ58
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〜「人の和」を大切に。そして、すべてがうまく回り出した〜
「自分事」 だと気づいたときに 人と組織は強くなる
池田模範堂の歴史は 越中富山の置薬に始まった
株式会社池田模範堂(以下池田模範堂)の歴史は 1909 年(明治 42 年) 、池田嘉市郎氏が越中富山で家庭配置薬販 売を創業したことに始まる。 1914 年(大正 3 年)に称号を「池田模範堂」と決定、 1926 年(大正 15 年)には「ムヒ」の製造を開始した。 1948 年(昭和 23 年)に組織改編し、現社名の株式会社池 田模範堂を設立した。 「池田模範堂」という社名には「社会の模範となる会社 になろう」という思いが込められている。 「ムヒ」という 商品名には「比べるものがないほど優れた効き目」という 意味が込められていて、 「唯一無比」が語源となっている。 2010 年には C I(コーポレート・アイデンティティ)を 一新。次の 100 年を見据えて、 コーポレートロゴを「ムヒ」 から「MUHI」へ、スローガンを「かゆみを科学する」か ら「肌を治すチカラ」へと改めた。製品用途を虫刺され・ かゆみ止め分野から、 肌のトラブル ・ スキンケア全般の「肌 分野」に広げて、まだ誰も目を向けていない肌の悩みを解 決すべく、新分野での積極的な事業展開を図っている。
最新設備、環境ゆえの悩み 横のつながりが希薄に
長年培ってきた技術と伝統を継承しながら、時代のニー ズへのチャレンジを続けてきた同社だが、2002 年の新工 場移転を機に、新たな問題に直面することになった。 新工場に移転しシステム化が進み、メンバー間のコミュ ニケーションが希薄になっていったと語るのは、取締役工 場長・吉田裕一氏だ。吉田氏は「旧工場にはなかったシス テムを使用し始めてからは、社内連絡の多くが電子メール で行われるようになり、情報管理もシステム化されて人の 手がかからなくなりました。フェイストゥフェイスでなく ても仕事ができるようになって、コミュニケーションがど んどん希薄になっていくのを感じていました」と語る。 このときの状況を、製造グループグループ長・巽和弘氏 は「旧工場では、扉を開けると隣の現場があって、物理的 にも心理的にもつながっているという実感がありました。 ちょっとモノを持って行ったり打ち合わせをするにして も、顔を見て現場で話をするという光景が普通にありまし た。しかし、新工場では搬送設備やシステムが整ったこと で、互いに持って行き合っていた資材などは倉庫で集中管
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