ビジネスインサイツ59
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サラヤ株式会社
「衛生・環境・健康」をモットーに定評ある自然派商品を開発、 販売しているサラヤ株式会社では、 海外事業の拡大に伴い製品 ・ サービスの供給もグローバル化しており、従来の体制による品 質問題への対応に不安を抱えていた。そこで同社の取締役品質 保証本部長・根本三千夫氏、顧問・富田晋平氏(元品質保証本 部長)の両氏は、全社品質改善活動のプロジェクトを立ち上げ た。本活動の背景、仕掛けづくりによる意識の変化、今後の展 望などをお聞きした。
▲取締役品質保証本部長・根本三千夫氏(左) 、 顧問・富田晋平氏
従来のやり方の延長線上でクレーム処理もこなせるが、 〈仕 組み〉がないと海外で発生した問題に対しては、日本から 飛んで行くことになる。何ヵ国にもなれば、これまでのや り方では通用しない。全社的にグローバルな品質保証体制 づくりが急務になったのだ。そのためのプロジェクトの立 上げと運営の専任として、根本氏に白羽の矢が立てられた のである。 「目先の問題の火を消すだけでなく、真の原因から是正 する仕組み、原因を解析して同じ問題が再発しない仕組み が必要と切に思いました」 (根本氏) 。 顧問の富田晋平氏(元品質保証本部長)も「これまでの 品質保証部は、実は “ 失敗の後始末部門 ” だったのです。 意識も原因追求による再発防止・未然防止型ではなく、ま さに処理型だったため、意識改革の活動に取り組むことに したのです」と語る。 いざ社内で活動を展開しようとしても、さすがに内部の 人員だけで実施するのは難しい。プロセス全体に関わるシ ステムづくりとなるので、やはり外部の力が必要となり、 JMAC が活動を支援することになったのである。 JMAC を選んだ根本氏は「上流の設計品質に課題を抱 えていて、真の原因への対策を打っていくうえで、物事の 基本をしっかり理解して進めていくべきだと思っていまし た。さまざまなコンサルティング会社を比較しましたが、 JMAC のアプローチ方法がわれわれの思いにマッチして
いると判断したのです」と語る。 JMAC シニア・コンサルタントの亀ヶ森昌之は「両氏 が指摘するように、設計から生産、営業、販売という流れ の中で、 やはり “ 連携 ” という部分がまだまだでした。 個々 人は非常に一生懸命に取り組んでいても、品質問題は組織 で対応ができないと効果も弱いのです。 その点、 問題をテー マ化して全社で進めていきたいとするサラヤさんの熱い思 いは、最初から伝わってきました」と語る。
ボトムアップ型の活動で プロセスの質を高めていく!
こうして 2014 年、サラヤ全社の品質改善活動プロジェ クトがスタートする運びとなった。品質リスクマネジメン トプロジェクトと名前を付け、その推進組織として社長を トップに品質保証本部が事務局となり、工場から管理間接 部門、海外工場も含めて 40 以上の部門が参画している全 社活動である。富田氏は「トップダウンではなく、ボトム アップ型で活動に取り組みたい」と期待を寄せている。 活動は JMAC の支援のもと、全社的に品質のリスクを すべて洗い出す作業から始まった。 大きなものだけでなく、 こんな心配がある、恐れがあるというレベルまで含めて約
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