ビジネスインサイツ59
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経営基盤の強化に向けたさまざまな取組みについて、 JMAC が支援した事例をご紹介します。
〜グローバルに供給する製品の品質保証体制づくり〜
開発から販売、営業までの 全プロセスの質を高めていく!
メディカル事業、そして海外事業の展開により、グループ
日本の衛生改善から 世界の「衛生・環境・健康」へ
終戦から 6 年、ようやく主権を回復したとはいえ日本 の衛生状態は決して良いとはいえず、赤痢などの伝染病が 蔓延していた。その翌年、 サラヤ株式会社(以下、 サラヤ) の創業者・更家章太氏は、衛生状態の改善に貢献すべく、 ヤシ油原料の「パールパーム石けん液」とそれを衛生的に 供給する容器を開発、発売した。これがサラヤの歴史の始 まりである。 以来、40 年以上のロングセラーとなっている「ヤシノ ミ洗剤」をはじめ、さまざまな消毒剤、体にやさしい甘味 料などを次々と世に出し、世界の「衛生・環境・健康」に 貢献する製品・サービスを提供してきた。とくに、2010 年からウガンダで実施している「100 万人の手洗いプロ ジェクト」など、途上国での各種プロジェクトで感染予防 に大きな成果を上げている。 事業規模も順調に拡大し、現在国内に製造 2 拠点、開 発研究 2 拠点、営業拠点 56、海外に営業 17 拠点、製造 6 拠点(中国・タイ・マレーシア)を有している。 現在では、コンシューマー事業、サニテーション事業、
全体で従業員約 1,800 人、売上規模 356 億円にまで成長 した(2014 年 10 月現在) 。
グローバル化に対応できる 品質保証体制の仕組みを
長年の研究成果による製品・サービス、衛生への取組み のノウハウは、 今や世界中に受け入れられるようになった。 しかし、それゆえの悩みも出てきた。 「今、海外での事業展開はどんどん話が進んでいます。 一方で韓国の MERS 感染など、グローバルで対処すべき ことに応えるサラヤの品質保証体制はどうなのか? グ ローバル化に対応できる仕組みがあるのか? ということ にトップが危機感を抱いていたのです」と語るのは、同社 の取締役品質保証本部長の根本三千夫氏だ。 根本氏はサラヤの前職では品質保証のシステムづくり、 プロセスの仕組みづくりに従事、また ISO の審査員でも あり、その目から見ても「製品そのものだけでなく、プロ セス全体の品質を保証する仕組みが十分でない」と感じた という。 たしかに国内であれば、品質問題が生じてもこれまでの
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