ビジネスインサイツ59
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サラヤの品質保証体制図
活動を安定させて さらなるチャレンジへ
当初、根本氏はサラヤの企業文化からして、活動には多 少は「厳しい指導」があったほうがいいと考えていた。短 期で早く結論を出したかったという自身の本音もあった が、意識改革という面からも多少の刺激が必要だと思って いたのである。一方、亀ヶ森は、矢継ぎ早に教え込むこと をせず、焦らずじっくりと従業員に向き合って、さまざま な気づきを「引き出す」ことにした。 亀ヶ森によると、 「ああしなさい、こうしなさいと、ま るでトップから言われるような状況をつくってしまうと、 なかなか実行されないこともあります。こちらから指示す るより、なるべく聞いてあげて、困りごとを共有するよう な作戦にしたのです」とのこと。 「結果として、そのやり方がよかったのです。受ける側 の声をしっかりと聞いていただき、問題点を引き出しても らっているんだなとわかりました。商品開発部をはじめ各 部門は今すごくいいムードになっています。これを壊さな いように、このような指導を長期でお願いできればと考え ています」 (根本氏) 。 活動がスタートしてまだ 1 年に満たないが、 「活動に参 画するメリット」を享受できる「場」づくりは成功したと 言える。全社員が活動そのものに期待しているのである。 今後の方向性や課題について両氏は「活動の土台がしっ かして安定してくれば、部署によってはより専門性の高い
経営会議
サラヤグループの品質保証の 規定、方針目標
ご指摘、 ご要望など
事務局:品質保証本部
品質監査 品質 アセスメント
品質保証委員会 お客様
品質基準 徹底
商品サービス 情報など
各工場
商品開発本部
営業本部
国内外関係会社
コンサルティングの導入も検討していきたいですね」 (根 本氏) 、 「まだまだ基礎的な技術力が弱い部分もあるし、研 究所の成果を実生産に移すときの製造工学を研究から製造 の技術スタッフは修得する必要があります。この部分でも JMAC の支援が必要になってくると思います。サラヤの 製品は、信頼で成り立っています。信頼は品質から生まれ ます。事業規模が拡大しても信頼を維持しなければなりま せん。そのために全社品質改善活動は欠かせないのです」 (富田氏)と語る。 活動が定着するにつれ、意識改革が進み、開発から販売 までのプロセス全体の質が向上していく――本活動の成果 により、サラヤの「衛生・環境・健康」は、これまで以上 に社会に大きく貢献するに違いない。
グローバルで 品質を保証できる 包括的な シニア・コンサルタント マネジメントを! 亀ヶ森 昌之
担 当 コ ンサルタントからの一言
品質をつく り上げる合理性と柔軟性の両立
企業の組織構造が、事業環境や戦略、テクノロジーに適合して変化するよう に、品質を維持・向上するシステムも、状況に合わせて見直す必要がありま す。グローバル拠点で製造を行い、 グローバル市場に製品を送り出すことで、 商品開発から販売までの各機能には新たな課題が生まれ、機能間の整合と調 整がより複雑かつ高度になります。品質マネジメントシステムの合理性を維 持しながらも、柔軟な対応を行う、包括的なマネジメントが要求されていま す。サラヤでは今、それをつくり上げ、ランクアップした品質を提供し続け る、新たなマネジメントレベルへのシフトが始まっています。
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