ビジネスインサイツ60
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てもらうことに、じっくりと時間をかけました」 (松田)
真因を突き止めるこだわりを! 継続して得られる活動の手応え
小林一成氏(品質保証部課長) 板井宏子氏(包装課リーダー) JMAC の支援が決まると本プロジェクトの事務局が設 置され、小林一成氏(品質保証部課長) 、板井宏子氏(包 装課リーダー)が参加することになった。 当時の状況を小林氏は「不具合自体が多く、再発もして いました。発生しても検査でカバーするという状態だった ので、真因の部分を問題解決しなければ…」と捉えていた ものの 「これまでさまざまな取組みを実施してきましたが、 思うような成果を得られなかったのです。しかし、的を射 た指摘を得て変えていくことで良くなるはずだと思いまし た」と語る。 板井氏は「一番下流の包装工程の検査で流出を抑えてい たのですが、実は不具合の発生は日常化していて、重大な 問題だとは思っていなかったのです。しかし下流で流出を 抑えてもコストがかかるだけと診断で指摘され、上流での 対策の必要性を認識しました」と診断結果の内容にすぐに 納得できたという。 診断で解決すべき問題点は明らかになった。後は行動に 移すのみである。現場の状況からして「問題の根は深い」 と見ていた西方氏は、成果が出るまでに 4 年はかかるだ ろうと思っていたが、倍のスピードで進めて 2 年で決着 をつけることを最初に宣言したのである。 これに対して JMAC は「2 年の猶予を与えていただき ましたが、根っこは体質的な問題が大きいので、状況を見 ながらどのタイミングで何をやるかを常に意識していまし た。即効性はないですが、 最初にやったのは、 『正しいデー タ』を取ること、つまり正しいデータを基にするというこ とでした」 (松田)と、 まずは正確なデータ取りと統計デー タの正しい取り扱いをねばり強く支援した。データの取扱 いが雑になると、重点を絞れなくなり、問題の真因が見え にくくなるからだ。 「現場のリーダーに報告書への記載の仕方、言葉の定義 や使い方を教育したころから、少しずつ良くなってきまし た。さらにそれを読むマネジャー層には報告書を読むだけ でなく、実際に現場に行って何を見るべきか? を理解し 本プロジェクトが始動した当初、現場では「また何か始 まったな。 そのうちなくなるだろう」 という受け止め方だっ たが、継続して成果を出せるようになったのは、JMAC の仕掛けや工夫だけではなく、やはり事務局の存在が大き い。 JMAC のコンサルタント・師田和子は「活動がうまく いったのは、私たちからの提案に対して小林さんも板井さ んも、現場目線で『ここは受け入れる』 『ここは変えたほ うがいい』ということを、はっきりと主張してくださった から」と評価している。こうしたチームビルディングが最 初の半年ほどで行われ、それと並行して事務局側でも活動 による成果の手応えを実感できるようになっていった。 板井氏は「不具合の実際事例を使った勉強会で、不具合 の発生プロセス、時系列で考えることなどで、真因と対策 にアプローチするやり方を知りました。それまでそうした 考え方をしたことがなかったので、すごく勉強になりまし た。今までは流出させる原因を追っていましたが、そうで はなく発生する原因を突き止める必要があったのです」と 自身の考え方が変わったことが、活動の実感として得られ たという。もちろん、こうした考え方は今では各現場にも 広がっている。 小林氏も「データを観察して少しずつですが定量的に良 い数値が見えるようになると、成果を実感できるようにな ります。数値で成果が見えてくるようになると、やはり周 りも変わってきたので、活動の手応えを感じることができ ましたね」と語る。 西方氏は部長会に上がってくる議題に変化を感じたとい う。 「今後大きくなりそうな潜在的な問題が、早期に生産 部長会で取り上げられるようになったのです。今では、書 類に真因の突き止め、再発防止へのキーワードがきちんと 記載されるようになっています」と真因へのこだわりを持 つように皆が変わってきたことを強調する。
本当に成果を実感できた 工場の改善発表会
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