ビジネスインサイツ62
- ページ: 18
- 18
JMAC EYES
最新のコンサルティング技術・事例・実践方法などについて コンサルタント独自の視点で語ります。
ジェネラルインテリジェンスのある 経営リーダーを育成する
プロダクションデザイン革新センター センター長 シニア・コンサルタント
亀ヶ森 昌之 masayuki kamegamori
スペシャリストをまとめ上げる 全体的な視野が必要
ビジネスプロセスの中で必要とされる 知識や能力は多岐にわたり、それに応じ て企業人は目的に適した専門知識を学ぶ ことが要求されます。 一方で、問題解決には多様なスペシャ リティを駆使しながら立ち向かう必要が あります。そのためには全体的な視野か ら解決のフレームワークやシナリオをつ くり上げる企画力と、実現するまでのマ ネジメントやプロジェクト推進能力が重 要です。 最近の企業では、どちらかといえばス ペシャリティを強調してきた傾向があり ます。低成長経済の流動的な雇用環境で は、企業側も課題に応じて即戦力になる 専門スキル型の人材を望みますし、雇用 される側も何らかの得意分野を身につけ ようとしているようです。 このような環境変化の中で、課題解決 のためのもう片側である「全体感を持っ た経営リーダー」をどのように育成する かは、経営者や人事担当者の新たな課題 になってきました。
ジェネラルインテリジェンス時代の 人材育成へのニーズが高まっている
今求められているのは、自社内の限ら れた知識ではなく、世間一般の多様なイ ンテリジェンスと自社のスペシャリティ を理解したうえで、自らの創造性とパ フォーマンスを発揮して課題解決できる タレント(ジェネラルインテリジェン ス)なのです。全体感(パースペクティ ブ)が要求される高度な業務が増えてい る中、企業のマネジャーにもジェネラル インテリジェンスを持ったタレントが要 求される時代になったといえます。 優秀なタレントを育成する必要性を感 じる場面は、新規事業展開のプロマネを はじめ、 グローバル拠点のマネジメント、 M & A による構造転換の推進など多々 あります。実際にこうした目的での人材 育成の相談を受けることが多くなってい ます。
寄せ集め的なプログラムではなく、広い 知識をつなぎ合わせて問題状況に対して 全体感(パースペクティブ)や位置づけ 感(プレイシング)および脈絡感(コン テクスト)を意識しながら、解決を図る デザインコンセプトを持った内容です。 新しいプログラムでは、参加者に必要 なビジネスインテリジェンスを記憶して もらう「知識コンポーネント」の開発か ら始めてもらいます。知識の全体感や分 類感をつくり上げ、引き出しづくりを行 う段階です。 そのうえで課題テーマの解決について チームによる議論を継続させながら「パ フォーマンスコンポーネント」を開発し ていきます。この段階では知識をつなぎ 合わせ総合化することにより、解決シナ リオを生み出すことを経験します。 並行して、自らの能力をセルフマネジ メントして向上していくための「自己認 識コンポーネント」 を開発していきます。 これはブログなどによる気づきとつぶや きの書込みを中心とした内容で、自分で 自己課題が整理できるようになることを 目指したものです。
能力コンポーネントの開発プロセス が人を成長させる
今私たちが取り組んでいる育成プログ ラムは、マネジメントや問題解決手法の
亀ヶ森 昌之プロフィル
北海道大学工学部卒業後、オフィス機器メーカー に勤務、1990 年 JMAC 入社。メーカーのオペレー ションとマネジメントを幅広く対象とする改革コンサ ルティングを担当。バリューチェーン全体を捉え、総 合的に付加価値と生産性を向上させるアプローチで改 革を推進。並行して管理者層を対象とするマネジメン ト教育に取り組んでおり、自己調整学習を応用した、 速習を特徴とするプログラムにより幹部を養成してい る。2002 年より 5 年間、経営企画室室長として経営 実務に携わる。著書に『新社会人のための経営企画の しごと』 (JMAM 刊)
経験積上げ型から コンポーネント開発型へ
不確実性の高い今の企業環境では、一 定水準の幅広い知識と自らパフォーマン スを発揮できるジェネラルインテリジェ ンスの高いリーダーが必要なのです。そ の育成にはこれまで日本企業で行われた 経験積上げ型(たとえばジョブローテー ション)だけでは不可能です。個人の能 力コンポーネントの開発に意識を向ける 新たな転換期を迎えたといえます。
本記事は JMAC のホームページで連載中の「JMAC EYES」の要約版です。完全版は www.jmac.co.jp/jmaceyes で。
- ▲TOP