ビジネスインサイツ63
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JMAC EYES
最新のコンサルティング技術・事例・実践方法などについて コンサルタント独自の視点で語ります。
本社の業務改革は 「総合格闘技」である!
ビジネスプロセスデザインセンター センター長 シニア・コンサルタント
大谷 羊平 youhei otani
7 割の企業が BPR に取り組むも 本社の改革が進まない!
JMAC が 数 年 お き に 実 施 し て い る BPR 活動(ビジネスプロセス・リエン ジニアリング : 業務の抜本的な改革活動) の実態調査の結果を見ると、7 割程度の 企業が BPR に取り組んでいます。しか し、成果が上がりにくい領域があるのも 事実です。その領域とは実は「本社」で す。バリューチェーンに直結する機能領 域の BPR 活動は順調でも、本社の活動 が進まない、活動前に戻ってしまったと いう声を聞きます。BPR 活動の残され た課題は、本社の業務改革なのです。 以下で、本社の業務改革を上手に進め ていくためのポイントを整理します。
まずは、活動の目標・落としどころを 明確にすべきです。効果的な改善・改革 活動には、目標設定が重要です。本社や 間接部門の改革活動でも、工数や人数の 目標を設定しますが、改善効果が目に見 えにくいからこそ、業務工数削減の効果 をどう把握し、どう評価するのか、工数 削減で人員を減らすのか、新規の業務を どの程度増やすのか、などの「落としど ころ」を明確にすべきです。 次に PDCA です。PDCA を回すため の改善案の実行で、本当に効率的になっ ているのか? という疑問も多く聞きま す。これも業務の特性が邪魔をしていま す。改善案数やその実行率の管理も重要 ですが、残業時間や処理件数、問合わせ 件数、イレギュラー業務の発生件数、ミ スの発生件数など、業務のやりやすさや テーマの進捗度を測る指標(部門 KPI) を設定し、管理することも重要です。 【2】業務改革活動の進め方
点が重要となります。 まずは「見える化」です。本社の業務 は目で見てもわかりにくい仕事ですか ら、 「文殊の知恵」を出すには仕事の見 える化が重要です。見える化には、 「業 務の分担構造」 「業務工数(業務量) 」 「業 務の流れ」などいくつかの整理の方法が あります。どのような目的で分析したい のかを明確にして取り組んでください。 次に重要なのが「改善視点」です。見 える化した仕事をどう料理するかです。 対象部門の特性や対象業務の特性によっ て当てはめるべき視点は多少異なります が、 「改善の基本」などを活用してアイ デア出しを進めることが有効です。 【3】新しいアプローチの組み合わせ
本社の改革をうまく進めるための 3つのポイント
【1】業務改革活動の目指す方向 社内の活動推進がうまくいかない背景 には「活動の目標・落としどころが不明 確」 「PD はあるが CA がない」という ことが多くみられます。この 2 点に関 してアドバイスしておきます。
「仕事そのものの見直し」や「システ ムの見直し」の推進も重要ですが、最近 はそれに加えて 「働き方の見直し」 をセッ トにして改革推進を支援するケースが増 えています。 すなわち、本社の改革を「総合格闘技 型」で進めるのです。たとえば、仕事を マニュアル化して各人の予定を見える化 する、 朝会で応受援の相談をする、 マニュ アル化した仕事を手伝う、などで部門全 体の残業時間を減らす取組みです。 また、会社全体として会議や資料づく り、メール配信時のグランドルールの作 成・浸透を仕掛けたりします。創発的な コミュニケーションを増やすオフィスレ イアウトなどのハード面の改善、さまさ まざまな働き方を選択できるダイバーシ ティ支援型制度の構築などのソフト面の 改革など、長く・生産的に働ける職場環 境づくりもセットで支援しています。
「業務改革では部門別の活動が止まっ てしまう」 「業務の棚卸しの後、どう進 めるのかわからない」という声も最近よ く聞きます。進め方に関しては、以下の
大谷 羊平プロフィル
早稲田大学政治経済学部卒業後、1993 年 JMAC 入社。幅広い業界の業務オペレーションとマネジメン トを対象とする改革コンサルティングを担当。主には 業務改革活動を目標・指標設定から実施推進活動支援 まで一貫した改革を推進。並行して事業構造改革、原 価管理制度構築、リスクマネジメントやコンプライア ンス、事業継続計画に関してもコンサルティングを展 開中。著書に、 『使える!活かせる!マニュアルのつ くり方』 『オフィスの業務改善がすぐできる本』 『6 ス テップで職場が変わる! 業務改善ハンドブック』 (い ずれも共著:JMAM 刊) 。
本記事は JMAC のホームページで連載中の「JMAC EYES」の要約版です。完全版は www.jmac.co.jp/jmaceyes で。
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