ビジネスインサイツ64
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JMAC EYES
最新のコンサルティング技術・事例・実践方法などについて コンサルタント独自の視点で語ります。
明快な「自社らしさ」こそ 事業競争力の源泉
CS・マーケティング/セールス革新センター センター長 シニア・コンサルタント
蛭田 潤 Jyun Hiruta
自社らしい価値を提供する 「らしさ」につながる価値とは何か
企業はお客様に貢献することで支持さ れ事業が成長します。競争環境下で自社 が選ばれるためには、他社にない自社ら しい価値が提供できているかどうかが重 要です。では「自社らしい価値とは?」 と問われて即答できるでしょうか。 JMAC では以下の3つの観点 ※ から、 何を自社の強みとするべきかの検討から 始めることをお勧めしています。 1 つ目の観点は製品・サービスなどプ ロダクトそのものでの価値提供です。こ の価値はプロダクトの特徴・機能・性能 ではなく「お客様にとってのベネフィッ ト」を価値として明確化する必要があり ます。 2 つ目の観点はオペレーショナルエク セレンス実現によるプロセス優位です。 プロダクトに関連するお客様との接点の 各プロセスにおいて、エクセレンスな価 値を提供することによって自社らしさを 発揮するという観点です。
※トレーシーとウィアセーマの主張である3つの価 値基準を活用
3 つ目の観点はカスタマーインティマ シー、すなわち顧客密着です。大口顧客 や意思決定を握る顧客への価値提供によ り囲い込みを図るという観点です。
(3)お客様期待に対する提供価値をデザインする
お客様期待を踏まえ、①提供しないと 不満になる基盤価値、②他社も提供して いるがその水準の高低によって満足にも 当たり前にもなる期待価値、③他社にな い自社らしい価値を具現化した突出価
部門別の改善の積み上げからトータル の提供価値デザインへの転換を図る
提供価値の真の具現化を図るために は、事業プロセストータルでの提供価値 をデザインする考え方が不可欠です。次 のポイントを押さえる必要があります。
(1)お客様プロセスを起点に考える
値——の3つの視点からデザインします。
徹底実践により「らしさ」を お客様に届け切る
デザインされた価値提供は徹底実践 し、お客様に伝え、届けなくては絵に描 いた餅になってしまいます。以下の観点 から実現課題を設定し、解決していくこ とがポイントです。 ①組織デザイン:お客様起点で提供価値 を考えると現状の組織の枠組みでは対応 できないことも発生します。その場合、 現状にとらわれずに組織編成や役割・機 能分担などの再設計をするべきです。 ②業務プロセス:価値実現のために業務 プロセスそのものの改革や阻害要因と います。 ③接点ツール:Web・SNS・紙などの 接点ツールをどのように活用すべきかを 検討します。 ④要員配置・人材能力:プロセス別の提 供価値や必要な業務を踏まえ、要員配置 を見直します。 このように徹底実践のための課題解決 は部分的・漸進的ではなく、全体的・抜 本的に進めることが重要です。また提供 価値をデザインし、実現プロセス全体を マネジメントする経営機能の新設や強化 についても検討する必要があります。 なっているルール・基準などの改革を行
お客様への価値提供なので、自社プロ セスや業務ではなく、あくまでお客様プ ロセスを起点とします。お客様の事業や 業務への理解が浅いとプロセスが描けま せん。
(2)お客様プロセスからお客様期待を洞察する
お客様プロセス別にどのような期待が あるのかを考えます。その際、自社との 接点で見えている範囲以外の部分が多い ことを前提に、B to B であれば背景に ある事業・業務やその課題、B to C で あれば背景にある生活や課題まで見据え て期待を把握する顧客洞察が重要です。
蛭田 潤プロフィル
立教大学経済学部経営学科卒業後、1985 年 JMAC 入社。入社以来の業務改革支援の経験を活かして、CS 向 上・顧客接点改革領域のコンサルティングを担当。主に は営業・コールセンター・アフターサービスなどの顧客 接点業務の CS 向上と効率向上を同時実現する業務改革 や企業文化変革の観点からのコンサルティングを推進。 最近は本稿のような自社らしい価値を実現する事業プロ セスデザインと実現課題解決推進に注力。著書に、 『お 客様に対応する業務の品質管理』 『図解でわかるコールセ ンター/ヘルプデスク』 『図解でわかるベストコールセン ターマネジメント』 (いずれも共著:JMAM 刊)など。
本記事は JMAC のホームページで連載中の「JMAC EYES」の要約版です。完全版は www.jmac.co.jp/jmaceyes で。
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