ビジネスインサイツ64
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TOP Message
毎回、革新、成長を続けている企業のトップに 経営哲学や視点についてお話しを伺います。
JMAC トップセミナー 誌上講演
パッションをア クションに変える ! 2 度の V 字回復を支えた改革への挑戦
〜 JMAC トップセミナー「TOTO の変革と挑戦」より〜
TOTO 株式会社
バブル崩壊で赤字転落 「営業魂」で改革を仕掛ける !
私は東京の生まれで、親父は従業員 5 人の鉄工所を営 んでいました。職人だった親父は「お前には跡を継がせた くない。学問を身につけてサラリーマンになれ」と非常に 教育熱心で、小学生の私に家庭教師を 2 人もつけてくれ ました。零細企業のため景気に左右されやすく、大学生の ときには鉄工所が倒産しかけたこともあったので、 「財務 基盤がしっかりしたものづくりの会社に入りたい」と考え て選んだのが TOTO でした。 1973 年の入社以来ずっと営業畑を歩み、2009 年に 15 代目の社長に就任しましたが、本社(北九州市小倉北区) での勤務経験がない社長は歴代初めてで、営業しか知らな い社長も初めてでした。これが 1 つの大きなキーポイン トで、今日は国内を中心とした営業スタイルの変革につい てお話ししたいと思います。 私が営業企画部の部長だった 1998 年、TOTO は赤字 に転落しました。バブル経済の崩壊で新築住宅件数が激減 したのが原因です。新築が本当に盛り返すのかわからず、 目の前でとんでもないことが起こって営業利益率がどん どん落ちていった時代でしたから、 「このままではまずい。 何かしなくてはいけない」と感じていました。状況が大き
く変わった以上、それまでの販売スタイルを転換すべき だと考えた私は、 「流通改革」 「販売革新」 「リモデル戦略」 という 3 つの軸で改革を進めていきました。
「流通改革」 で特約店の自立を促し、 新たな関係性を築く
「流通改革」では、流通網を整備するために特約店制度 を抜本的に見直しました。新築住宅件数が右肩上がりだっ たバブル崩壊前は、多くの特約店からなる「網の目のよう な販売網」が TOTO の大きな強みで、特約店の経営も安 定していました。 しかし、バブル崩壊後は全体のパイが小さくなったこと から競争が激化し、 特約店の経営は厳しくなる一方でした。 これを打開すべく行ったのが、商材の総合化です。それま では、トイレや水栓金具を専門に取り扱う特約店、お風呂 を専門に取り扱う特約店などというように、商品ごとの特 約店制度を敷いていましたが、 「トイレだけではなく、洗 面化粧台もお風呂も、 他社製品もどんどん売ってください」 と取り扱ってもらう商材の幅を広げたのです。 これに伴い従来の「商品別特約店制度」を廃止して、 「総 合特約店制度」に改定しました。手形取引をすべて原則現 金取引に変更したことに加え、リベートや保証料の問題も
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