ビジネスインサイツ65
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TOP Message
毎回、革新、成長を続けている企業のトップに 経営哲学や視点について語っていただきます。
JMAC トップセミナー 誌上講演
経営者の 「覚悟」 が改革の要 「人と企業風土 」 を育てるアサヒ流の改革
〜 JMAC トップセミナー「アサヒグループのチャレンジ経営」より〜
アサヒグループホールディングス株式会社
「人と企業風土」を改革し 激動の時代に勝ち残れ
近年、経営環境と経営課題は激変しています。日本の ビール市場は、1994 年のピークを境に数量は毎年 1%程 度下がり続け、昨年までで 25%以上減少しています。今 後も少子高齢化の流れの中で 1%程度の減少が見込まれて おり、ビール事業の経営者としては「いかに生き残ってい くか、勝ち残っていくか」が非常に重要な経営課題となっ ています。 一方、 国内で生き残れたら安泰かと言えばそうではなく、 もはやグローバルに市場を見ていく必要があります。昨 年、世界第 1 位のアンハイザー・ブッシュ・インベイブ 社が世界第 2 位のサブミラー社を買収し、世界売上の約 30%、 利益においてはそれ以上のシェアを占める巨大ビー ル会社が誕生しました。ゆえに、今後は規模の戦いではな く「グローバルの中でどのようなポジションをとるか」が われわれのテーマになってきます。 一般的に経営資源は「人・もの・金・情報・企業風土」 と言われていますが、こうした厳しい時代に勝ち残ってい くために私が最後の最後に一番大事だと思うのは、 「人と 企業風土」です。イノベーションや戦略的経営も必要です が、人があっての話ですし、新しいものに挑戦しようとい
う企業風土でなければ、いくら経営幹部が笛を吹き太鼓を 叩いても現場は動きません。したがって、その「人と企業 風土」に焦点をあてた経営が必要だと考えています。 今日はこの「人と企業風土」をテーマに、われわれが 2000 年前後から進めてきた経営改革のプロセスを、成功 話だけでなく失敗話も含めてお話ししたいと思います。
「発想の転換」がポイン ト 市場のニー ズが商品価値を決める
経営改革でまず第一に必要なのは、基本的な「発想の転 換」 です。 業績が悪くなると経営陣は 「どうやって売るんだ」 と議論しがちですが、 「どうやって買っていただくか」に 頭を切り替えなければなりません。ここで一番いけないの は「俺たちの時代はこうだった」という思い込みです。お 客様のニーズやウォンツはどんどん変化していますから、 常に変化を予測して今起きている事実を確認しておかない と市場ニーズとずれてしまい、買っていただける商品を開 発できるはずがないのです。 今、お客様が求めているのは「精神的な満足」です。物 的品質の「おいしい・安全・安心」だけではなく、 「買い やすい・運びやすい、楽しい・嬉しい」などの満足感も提 案していく必要があります。またコミュニケーションは、
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