ビジネスインサイツ66
- ページ: 18
- 18
JMAC EYES
最新のコンサルティング技術・事例・実践方法などについて コンサルタント独自の視点で語ります。
イノベーションを起こすには 何が必要か?
経営構造転換センター センター長 シニア・コンサルタント
松田 将寿 Masatoshi Matsuda
人材は豊富なのになぜイノベーショ ンが起きないのか?
「イノベーション」といったときに、 その定義やイメージはさまざまですが、 結局のところ企業のなかの「人」や、そ の人たちが生み出す「アイデア」によっ てイノベーションは生まれます。日々さ まざまな事例を研究している高度に訓練 された同じ組織内の人たちが、特定の方 向性でアイデアを出していけば、いろい ろな新しいものが生まれやすくなるはず です。 では、なぜイノベーションが生まれな いのでしょうか。「ウチにはイノベー ションがない」と経営陣が口癖のよう に言っていても、戦略の方向やイノベー ションで生み出したいものが曖昧だと、 イノベーションは起きにくいのです。
客に思わせ、結果としてブランド価値を 高め、市場シェアも獲得していく。これ こそがイノベーションの目的です。 参考となるのはシュンペーターが述べ た「新結合」、そして最近では「逆転 換」(価値創造のために視点を変えて物 事を組み合わせる)の視点です。AとB を組み合わせて新しい技術やプロセスの 結合を開発するというケースもあれば、 逆に、何を強く打ち出し、何を小さくす るか「逆転換」という発想で成功させる ケースもあります。いずれにせよ、新し い価値の創出や再構成を図ったり、新し い市場を生んだり、新しい顧客を生み出 す状態を創り出せれば、イノベーション は成功すると言えます。
【経営陣】
⃝イノベーション戦略=イノベーション の方向性を定め、ライフサイクルを見極 め、ポートフォリオをデザインします。 ビジョンやイノベーションの範囲を従業 員にきちんと示すことも重要です。 ⃝イノベーションの管理=企業文化は、 イノベーションの再生産に大きく影響し 文化としてどうイノベーションを築き上 げていくか、これらをデザインします。 【従業員】 ます。理念や思想を継承しながら、企業
⃝現場のイノベーション=それぞれの現 場でアイデアの「芽」を生み出し、イノ ベーションを創造・開発していくことが 必要です。 ⃝イノベーションの実現=アイデアをビ ジネスまで昇華させるには「創造段階」 と「実現段階」に分けて管理します。プ レーヤーや報酬、チーム構成、リーダー シップ、経営資源など、会社が大きくな るほどマネジメントを分けるとうまくい く可能性が高まります。
イノベーションをどう管理(マネジ メント)していくか?
うまくイノベーションが起きたとして も、情報や技術の普遍化で、優位性が長 く続かないことが多いです。イノベー ションは短命化していて、変化の激しい 市場を常にリードしていくには、絶え間 なくイノベーションを起こす必要があり ます。これらの管理について、大きく経 営陣と従業員に分けてみます。
何のための イノベーションか?
そもそも、何のためのイノベーション なのでしょうか。競争優位性の実現、コ ストの差別化、魅力的な商品開発の先に あるのが「マインドシェアの獲得」で す。「あの会社の製品が一番いい」と顧
リーダーシップこそが イノベーションを喚起する
結局のところ、イノベーションの管理 に必要なものは、経営者の意思やリー ダーシップです。「何をやるのか」を従 業員にきっちりインプットし、イノベー ションが起きやすくするために、組織の 構造を変えたり、体制を変えたりして、 奨励・支援できるようにすることが求め られます。失敗しても成功してもみんな で認め合い、共有できる企業文化を創る ことが理想の姿だと思います。
松田 将寿プロフィル
早稲田大学大学院法学研究課修士課程修了後、1994 年 JMAC 入社。製造業を中心にコンサルティング経験 は 20 年超。支援企業は製造業を中心に国内外(海外 は現地企業含む)あわせて 100 社を超える。主要領域 は、製造業の経営戦略策定、経営戦略・経営改革実現 支援。とくにその企業のマネジメントモデルとビジネ スモデルの両面を描き戦略を実現していく支援が特徴。 ほかに品質保証マネジメントシステム、 サプライチェー ンマネジメントシステムなどクロスファンクショナル 領域の支援に強みがある。
本記事は JMAC のホームページで連載中の「JMAC EYES」の要約版です。完全版は www.jmac.co.jp/jmaceyes で。
- ▲TOP