ビジネスインサイツ66
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とつだ。山村氏は 「毎日の定点撮影を通じて、 『この状態で いいと思いますか』と問いかけをしながら、毎日忘れずに 少しずつ動くことの大切さを伝えてきました」 と振り返る。 金田氏は、三重工場にとって TPM は「やるべきことを 系統だってやるための手段であり、成果をしっかりと見 せるための道具である」と説明する。 「前回の TPM では、 初期清掃などの作業にこだわるあまり、自分たちの姿が見 えていませんでした。しかし今回は、闇雲にやって自分た ちが今どこにいるのかわからないということがない。最後 の目標がしっかりあって、途中の工程の成果もはっきり見 えるので、それが本人たちのモチベーションにつながった のだと思います。この成果を測る手段を明示してくれたの が、今回の TPM の一番いいところだと思っています」 JMAC の TPM コンサルタント・西原政美は「当たり 前のことを当たり前にという大建工業さんのスタンスは、 TPM の自主保全にマッチしています。当たり前をコツコ ツ進めていきながら、現場での改善意欲、改善のアイデア や発想が生まれる土壌もあるのが特徴」と見ている。 にマンネリ化して続かなくなるということがないように、 まさに最初のスローガンである『当たり前のことを当たり 前に』を 10 年後もやり続けることが大切だと思っていま す」と述べる。また、 「マンネリ化したときに何を変えて いくかが重要である」ともいい、 「ポイントは、会社の利 益目標などの方針と TPM をうまくブレンドして、 『自分 たちのありたい姿』をはっきり明示するところにあると考 えています。全グループの生産目標に照らし合わせると、 三重工場はこれから 2 割以上生産量を上げていかなけれ ばなりません。それが何年でできるかを見えるようにする と、10 年後の姿も見えてきます。最終的に日本でダント ツ No.1 の工場になるという想いがありますので、それに 向かって改善し続けるのみです」 小野氏は「ダントツ No.1 になるためには、シェアだけ ではなく、商品においても他社より抜きんでたものがない といけない。今後は新しい床材開発にも挑戦し、目標達成 に向けて全社一丸となって取り組んでいきたいと考えてい ます」 「当たり前のことを当たり前に」——TPM 活動で培っ た改善マインドと全社一丸のパワーは、近い将来、三重工 場をダントツ No.1 へと導くに違いない。
小 野 世 生 氏( 住 空間事業部 三重 工 場 前 工 場 長、 現工場長付)
目指すは “ ダントツ ”No.1! 新時代の床材開発に挑戦
「5 年で 10 億円」を 4 年で達成し、床材シェア No.1 となった今、三重工場の新たな目標は単なる No.1 ではな い、さらに差をつけた「業界ダントツ No.1」の工場にな ることだ。そのため、現在は TPM 活動と並行して設備の 強化も進めている。設備を入れ替えながら、一部設備につ いては増設も視野に入れ、さらなる生産性向上をねらう。 今後の経営課題について金田氏は「この TPM 活動をい かに伝承・定着して続けていくかが課題です。前回のよう 担 当 コ ンサルタントからの一言
ひとつになります
トップと現場が
成果の見える化で
あるべき姿の工場のイメージを全員で共有する
TPM の自主保全は「何事も徹底する」という姿勢がないと定着しません。た とえば、定置化、見える化など、やれることをとことん徹底するということで す。 そのためにはトップダウンとボトムアップをうまく回す必要がありますが、 大建工業・三重工場のトップの方々は、そのやり方が非常にうまいですね。現 場をひっぱりながら、 現場の主体性を生かしています。 あるべき工場の姿をトッ プから現場の従業員まで共有している点も評価できます。そのせいか、現場の
西原 政美
TPMコンサルタント
改善意欲が高く、改善のアイデアや発想に、いつも驚かされます。さらに要因
を突き止める力(解析力)を向上させれば、 もっと大きな成果が出るはずです。
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