ビジネスインサイツ66
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TOP Message
毎回、革新、成長を続けている企業のトップに 経営哲学や視点について語っていただきます。
JMAC トップセミナー 誌上講演
「諦めない心」 が世界初を生み出す イノベーションあるところにチャレンジの歴史あり
〜 JMAC トップセミナー「科学技術で社会に貢献する」より〜
株式会社 島津製作所
イ ノベーシ ョ ンと企業経営は 「車の両輪」 新価値創造でビジネスを永続させる
私は、企業の第一の目的は 「人そし て社会に役立つものを 提供し て、豊かな社会づく りに貢献すること 」であると考えて います。島津製作所はこの目的を実現するために、 「科学技 術で社会に貢献する」 という社是のもと、 今日までイ ノ ベーショ ンへの取組みをやり続けてきま した。本日は、 当社のイ ノベー ションへの取組みの歴史を踏まえ、イ ノベーションの創出に ついてお話ししたいと思います。 イノベーションは、 「社会・顧客の課題解決につながる革 新的な手法 (技術 ・ アイデア) で新たな価値 (製品 ・ サービス) を創造すること」であり、豊かな社会づくりの「エンジン」 と言えます。一方で、企業は事業を永続させるために “ 稼 ぐ力 ” をしっかり身につけて、短期ではなく長期にわたっ て継続的に利益を上げていかねばなりません。そのために は新たな価値を生み出すイノベーションへの取組みが不可 欠です。つまり、イノベーションと企業経営は「車の両輪」 であるとも言えます。そして、イノベーションを起こす原 動力は、 なんと言っても 「チャレンジ精神」 です。ベンチャー 企業として始まった当社は、創業当初よりチャレンジ精神 でイノベーションへの取組みをやり続けてきました。 創業者の初代島津源蔵は、理化学器械の製造販売で科学 技術の普及に貢献しました。日本で初めて有人軽気球の飛
揚に成功するなど、島津製作所発展の基礎を築いたと言わ れています。日本初となる理化学器械の目録(カタログ) には、最終ページに「此外様々御好次第、何品ニテモ製造 仕候」と記載し、早くから顧客第一の精神を貫きました。 この精神は今にも受け継がれ、 「Best for Our Customers =すべてはお客様のために」というスローガンとして、社 員の行動原則になっています。 息子の 2 代目源蔵は、レントゲン博士が X 線を発見し てからわずか 11 ヵ月後の 1896 年 10 月に X 線の写真撮 影に成功し、1909 年には日本で初めて医療用 X 線装置を 開発しました。また、産業の発展には電力の安定供給が不 可欠と考え、鉛蓄電池(商標:GS バッテリー)の開発・ 製造に全力をあげています。 この創業者 2 人のパイオニア精神を受け継ぎ、当社は 142 年間事業を継続してきました。 それができたのは節目、 節目で危機を回避すべくイノベーションで変化できたから だと言えます。次は、事業を長く続け、社会に貢献し続け るために取り組んだイノベーションについてお話ししたい と思います 。
「選択と集中」でイ ノベーションを加速 強みを活かした “ 重点投資 ” がカギ
当社は、1990 年ごろまでは事業の多角化を進めてきま
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