ビジネスインサイツ67
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JMAC EYES
最新のコンサルティング技術・事例・実践方法などについて コンサルタント独自の視点で語ります。
経営を支える人づくり 〜変化に対応できる組織能力とは〜
ラーニングコンサルティング事業本部 副本部長 人材・組織開発ユニット担当 シニア・コンサルタント 側から気づきにくい自社の長所を発掘
伊藤 晃 Akira Itou
「変わる・変わらない/変える・変 えない」をマネジメントする
企業の持続的成長には革新が不可欠で す。人づくりはその基盤であり、もっと も影響力の大きい要素です。誰が何を意 思決定し、どのように取り組んだか、す なわち人と組織の行動が結果を左右しま す。個人と集団が持つポテンシャルを企 業総体としての業績にどうつなげるか が、経営の要諦です。
し、内部人材は外部人材との違いを乗り 越えて経験価値を自社に取り入れる―― つまり、変革の方向に沿って新しい学習 を始める柔軟な「組織学習能力」がある かどうかが、成否を分けるということで す。 では柔軟な組織学習能力を持つにはど うしたらよいのでしょうか?
発意・継続・伝播が 行われているか
2つ目のアプローチは、「発意・継 続・伝播」のマネジメントです。人材マ ネジメントをご支援するときは「iik=意 を活かす経営(iは勇み立つ人、kは支え iikの要素が発意・継続・伝播なのです。
合う姿)」を根底に据えています。この 「発意」とは「何かしたい」という思 いから行動することです。抵抗にへこた れず、結果につなげ、たゆまない「継 続」を続ける。そして、これらを適切に 「伝播」する組織では、結果がもたらす 現在そして将来の意味に目を向けます。 変化対応力の高い組織には自ら発意する 社員が多く、管理職も部下の発意と継続 を支えています。発意が時や場所を超え て伝播する組織風土があるのです。この ような組織には、厳しい環境下で変化対 応を余儀なくされるような局面にあって も、変革を実現できるポテンシャルが十 分あると言えます。
革新への取組みとは「変わる・変わら ない/変える・変えない」を最適にマネ ジメントすることであり、もっとも難し いのは人の価値観の変革です。 優れた変革が実現できたケースとうま くいかなかったケース、その違いは何な のでしょうか?
学びの原則を どこまで実践しているか
1つ目のアプローチは7つの「学び」 の原則です。なかでも前半4つ「学んだ ことをすぐ実践に移す(1.実践)」「経験
したら“今度どうするか”=教訓をまとめ
る(2.教訓)」「当たり前になるまで繰 り返す(3.反復)」「コツやノウハウを 整理して明文化する(4.原則)」は、学 びの文化の有無によって変革能力に大き な差が出てくると感じます。後半3つの
柔軟な「組織学習能力」 =変革能力
発想が革新的であるほど既存の文化と の衝突が起きますが、それらを前進のエ ネルギーに変えられる組織こそ変革能力 が高いと言えます。たとえば既存事業と 新規事業の特性の衝突は、外部人材と内 部人材の関係に表れます。外部人材は内
5.共有、6.伝承、7.触発は他者の言葉か ら自己の行動を変える非常に高度な組織 能力を高める学習性と言えるでしょう。 これらのことが組織風土になっている 企業は、しなやかに変革していく能力が かなり高いはずです。
「発意」の メカニズムを動かす
「ある状況や局面で、個人や職場や会 社のポテンシャル(=潜在的な可能性) を理解し信じる気持ちがあり、そこに何 らかのきっかけとしての出来事が作用 し、ふっと意が生まれる」これが発意の メカニズムです。自己や職場や会社の多 様な可能性に目覚めるほど、発意のきっ かけが増えていきます。 変化対応力を高める人づくりの根幹は 何か?――その見極めこそ、人材戦略の 急所と言えます。
1983 年 JMAC 入社以来、業務改革の推進コンサルティ ングを中心に経験を積む。企業独自のコア・バリュー と直結した「知恵と活力を高める」人材マネジメント 革新を支援。“ 組織や制度を変えても人の意識・行動 がプラスに変化しなければ革新ではない ” という見方 を重視し、組織学習体質を強化するためコンサルティ ングを展開。現在は iik「意を活かす経営」を提唱・支 援している。支援業界は自動車、運輸、繊維、製薬、 精密機械、銀行、商社、経済連。著書『キヤノンの人 事革新がすごい!』 (あさ出版)ほか。
伊藤 晃 プロフィル
本記事は JMAC のホームページで連載中の「JMAC EYES」の要約版です。完全版は www.jmac.co.jp/jmaceyes で。
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