ビジネスインサイツ68
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TOP Message
毎回、革新、成長を続けている企業のトップに 経営哲学や視点について語っていただきます。
JMAC トップセミナー 誌上講演
One Olympus で 真のグローバル企業を目指す
〜 JMAC トップセミナー「グローバルヘルスケアカンパニーに向けての挑戦」より〜
オリンパス株式会社
不祥事を乗り越え 開発出身ト ッ プが改革を断行
私は 1982 年(昭和 57 年) 、オリンパス光学工業(現 オリンパス) に内視鏡の開発者として入社しました。以来、 約 30 年にわたって医療事業に従事し、この間、米国駐在 や内視鏡の洗浄消毒に関連した仕事、それを経て開発本部 長、マーケティング本部長を経験しました。そして突然、 「2012 年 4 月から社長に」という話があり、引き受けま した。私は事業という観点では医療を中心に一生懸命やっ てきた経験はありましたが、会社の経営は門外漢でした。 その状況で経営を引き受けたということです。 当社では約 7 年前に不祥事がありました。今日は、そ れをどう乗り越えてきたのか、そのあと再成長を目指して どのようにやっていこうとしているのかについてお話しし ます。 まず、不祥事についてです。バブル期は円高ということ もあり、製造業にとっては非常に厳しい時代でした。そし て株価が上がる中、当社も他の多くの会社と同じように金 融商品に投資していました。しかし、バブルがはじけて巨 額の負債が残りました。それをその時の損失として処理せ ず、M&A の際にアドバイザーへの報酬として処理してい たことから、有価証券報告書の虚偽記載に問われました。
第三者委員会を設置して調査した結果、損失隠しが発覚、 2011 年 11 月に発表したという経緯があります。その後、 過去 5 年分の修正報告などすべての手続きを終えたのち、 2012 年 2 月に新経営陣を発表しました。そのとき新たに 経営を任されたわれわれ社内出身者は、経営の「素人」ば かりでした。
信頼回復に向けて 経営体制を抜本改革
それではなぜ不祥事が起こったのか。第三者委員会によ れば原因は次の 4 つでした。 • ガバナンス体制の欠如(経営トップに権限が集中、情報 開示体制の未整備) • 事業ポートフォリオの肥大化、経営資源配分の非効率性 (売上偏重でノンコアビジネスが肥大化、事業環境変化 への対応の遅れ) • 毀損した財務体質(バランスシートの肥大化と不祥事後 の自己資本比率 2.4% という低さ) • 風通しの悪い風土(自由闊達な風土の後退、コンプライ アンス意識の欠如) 経営再建にあたり、われわれがまず考えたのは、 「失っ た信頼を回復するためには何をすればよいのか」というこ
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