ビジネスインサイツ72
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- 製品の質を下げずに、製造原
価を踏まえた対策が取 れなかった︒前年実績 の数値を参考に︑ ﹁前 回よりもコストを削減 しよう ﹂という意識は あっても︑そもそもそ の数値が適切なのか︑ また他の製品との原価 差異はどれくらいある ントになっていなかったのだ︒
実績に基づいた予定原価のみで運用
線造影剤の異物を 右の写真は︑X 検査する機械だ︒光を当てられてい
の時間」 に着目し、科学的根
価をどう削減するか。 「検査
高品質
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︵ スタートさせた︒
目についた 課 題 を 改 善 するだ け ではダメ
で︑改善施策結果の評
K E Y WO RD 1
自走していく仕組みづく り
目標が見えない活動を問題視 。自分たちの活動が数値化され、共 有できる文化を目指し
るのは造影剤が入ったシリンジで︑ その左のカメラで異物がないかを捉 えている︒この検査工程ひとつ見直
原価管理の仕組みをつくり、改善を回していく活動に取り組んだ。
従業員のコスト意識は決して低くないが、 「 全体感 」 のないコスト管理と
すだけでも︑コスト削減のインパク トは大きい︒ただし︑課題は﹁ 高品 質を保つ ﹂ ということだ︒ 富士製薬工業は︑医療用医薬品の メーカーとして注射剤︑ホルモン剤 をメインとし︑ ﹁ 急性期医療 ﹂ と ﹁女 性医療 ﹂を支える製品を製造︑供給 している︒今回は︑その製造拠点で ある富山工場のコストマネジメント の仕組み構築とコスト改善活動を紹 介する︒ 従業員のコスト意識は高いもの の︑管理側では結果数値報告が中心
か︑などの視点でのコストマネジメ
する範囲で改善を行っていたので︑
﹃ 気づいたことを改善する ﹄という
課題 ・ ミ ッショ ン
こ う し た 中︑ 笠 井 隆 行 さ ん が 2016 年に取締役副社長兼生産
活動だったんです︒日々の業務の経
験則に基づいて〝 改善できそう 〟 と
部門のトップに就任︒中期経営計画
いうものです︒やる気はあるけど視
期〜 期 ︶で︑工場全体で 億
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点や手法が手詰まりの状態になって
円のコスト削減目標を掲げ︑活動を
いました︒活性化もしていませんで
した︒そこで︑一旦ゼロベースから
﹁それまでも︑ロスの削減や労務費
見直すことにしたのが︑2017
コストに関するKPIがない
の削減など自主的に活動は行われて
年です ﹂ ︵ 笠井さん ︶
自前改善の手詰まり
いました︒しかし︑自分たちが想定
︵インダスト 同社はこれまでIE リアル・エンジニアリング︶など︑
体系的な改善手法を本格的に活用し
ていなかったということで︑まずは
現 状 の 課 題 を 把 握 す る た め に︑
JMAC のコンサルタントが工場
内の各ポイントをチェック︒その妥
当性やロスを分析し︑改善策を作成
していった︒
﹁ 気づきはたくさんありました︒な
拠も死守。
笠井 隆行 さん
かでも︑間接活動時間が想像より多
かったこと︒つまり︑製造に直接関
取締役副社長 富山工場長
わる﹃ 直接活動時間 ﹄ よりも︑手順
C ase 0 4
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Business Insights Vol.72
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