ビジネスインサイツ74
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- VUCA 時代の経営者は
「海図なき航海」を
遂行できる力を発揮せよ
VUCAとは変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、
曖昧性(Ambiguity)の頭文字。積極的なM&A によりグローバル企業へと導いた
小路氏が考える、戦略の組み立て方、経営者の資質、VUCA 時代の経営とは何か。
未来予測が不可能な今
必要な つの経営戦略
これからの経営戦略は、
が深まっていく環境を分析してつ
くっていくことが重要になります。
気候変動と資源不足、物心両面の幸
せ、 Well-being
のパーソナライズ
化などもメガトレンドとして捉えて
います。
を
たとえば、アメリカでは
原料にしたウォッカがすでに販売さ
る時代に入ったわけです。ウォッカ
からお酒ができ
ができるということはすべてのお酒
れています。
すなわち昨日使っていた海図が今日
時代は﹁ 海図なき航海 ﹂
、
はもう役に立たないのです。経営者
立ち戻り未来に向けて何をするかと
営 ﹂です。未来を予測し、そこから
つあります。1
戦略の考え方は
つ 目 は﹁ バ ッ ク キ ャ ス テ ィ ン グ 経
なりません。
行しています。
略を策定し未来に向けた施策を実
レ ン ド 分 析 を ベ ー ス に、中 長 期 戦
す。当 社 で は、こ の よ う な メ ガ ト
たものを飼料や食料に回せる時代
●
からつくれる可能性があり
いうマイルストーンをつくる経営に
2つ目の戦略は﹁ 一本足打法から
両利きの経営 ﹂です。既存事業を深
進化するテクノロジーとの共存
を
ウェイトを置かなければなりませ
く掘り下げつつ、イノベーティブな
テクノロジーの
発展
リアル」を特別なものにする体験価値の創造
●
DXの加速による新たなビジネスモデルの構築
経済成長地域のシフトなど地政学的変化
は答えのない経営環境の中で、自分
ん。ビジネスにとって大事なことは
●
「
人口動態の変化と
経済力のシフト
ま す。今 ま で お 酒 の 原 料 に し て い
未来に向かう社会の大きな潮流の変
発想をさらに深化させることと、新
グローバルブランドの世界的な拡大
展開エリア拡大への投資に向けた体力強化
●
で答えをつくり出していかなければ
化︵メガトレンド︶を読み取ること。
事業の探索を同時に行うこと。
当社では、取締役会をオープンイノ
士、会計士、外交官、重機メーカー
●
サステナビリティ志向の一層の高まり
がもうすぐそこまで来ているので
私どもが取締役会で行っているメガ
つ目は﹁ 自前主義からオープン
イノベーション戦略への移行﹂
です。
︵デジタルトランスフォー
トレンド分析では、キーワードとし
メーション︶
、グリーンテクノロ
ベーション的な機会にすべく、弁護
て、
︵バーチャ
ジー、フィンテック、
ルリアリティ︶
、メタバースなどの
の経営者の方々に来ていただいて、
環境、コミュニティなどへの取り組み強化
エシカル消費を捉えたさまざまな新価値創出
気候変動と
資源不足
2
テクノロジーの大きな進化に注目し
●
●
C
O
社内取締役と社外取締役の経験が重
一層のパーソナル化、プレミアム化への対応
行動変化を先取りした潜在的価値の具現化
幸福の定義の多様化、分散化の進展
2
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U
C
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ています。さらに人口動態の変化、
●
健康志向、アルコール関連課題による逆風
2
C
O
3
既存事業の枠組みを超えた心と身体の健康領域の拡大
●酒類と飲料の技術を融合した新提案やアルコール代替品の研究開発・育成
●
人類の幸福
(Well-being)の変化
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V
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当社事業の課題
注目すべきメガトレンド
メガトレンド
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X
2030年
2050年
C
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3
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C
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メガトレンド分析
2050年までのメガトレンドでは、人類の幸福(Well-being)のあり方が変化していくと想定され、
そこからバックキャストし、幅広い議論で当社事業における課題を抽出
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Vol.74
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