日本が体験した 利益と信頼のためのBCP2005年、国の中央防災会議では、2015年までに大企業のすべてと中小企業の半数以上でBCPを設定することが目標とされた。BCPという言葉は、この前後に認知が広まったが、企業が必要性を強く感じたのは2004年の新潟県中越地震の影響が大きかったそうだ。「この地震のとき、メーカーのA社が打撃を受けました。設備や在庫、復旧費用などでおよそ500億円の被害が出たといわれています。ところが、被害はそれだけに留まらず、そのメーカーが操業を停止してしまったために、親会社のB社では連結売上高が減少し約370億円もの利益減が発生したのです。つまり、中核拠点の被害によって、機会損失による業績下方修正の影響も含めて870億円もの損失が起きたことになるのです」この事実は、さまざまな業界を引っ張るトップ企業をはじめ、行政にとっても大きな衝撃になったという。 対応を配慮すべき3つの対象とは企業ごとに対応すべきリスクの種類は変わったとしても、リスクを配慮する対象についてはどの企業でも共通している。「1つは顧客への対策です。被害の状況を公開し、復旧計画を提示することで二次被害を最小限に留め、素早い対処への姿勢を見せることで顧客の信頼を維持しなければなりません。2つめは雇用者としての対策です。人的被害が起きないようにあらかじめ対策を講じたり、緊急時の避難ルールを定めるといったことです。これについては、過去に設定してきた企業も多いことでしょう。JMACがお手伝いしている例では、食料を何日分備蓄する、被害状況の大きさによって何日までは自宅待機とするなど、発生後に関わるルールづくりも支援していますね」 いざというとき、きちんと役立つBCPの策定をBCP策定において重要なポイントは“使えるもの・役立つもの”であることだ。JMACでは、BCPのコンサルティングに限らず、全てのコンサルティングテーマにおいて、具体的で実践的な提案を行っているが、このBCPにおいても、“いざというとき、きちんと役立つBCP”の策定をクライアントに提供することを旨としている。「さまざまな部門の専門家を擁するJMACが得意とするところですね。災害が起きたときに、どういった手順を踏むのが製造過程上効果的なのか、設備への防災対策をするなら、どの工程・機器に対して行うのが被害を最小限に抑えられるのか、現場感覚をもって提案することができます。また、必要に応じて外部の専門家も含めた体制を組むこともあります」同時にコスト面でも無理のある計画であってはならない。工場を丸ごと最新の耐震構造にするなど大がかりな対策は、すべての企業・拠点でできるとは限らないのだ。リスク対応は大事だが、そのために企業経営や日常業務に大幅な支障をきたすようでは実用的とはいえないということだ。 |
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