ビジネスインサイツ49
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- Human & Organization
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研修、そして推進役研修、三つの施策が連携して相乗効果 を出したと言える。
会が多くなかった部門でも、複数のチームでマネジメント KI を実施するなど、自分たちから発案し、行動するにま で至っている。これも成果の一つと言えるだろう。
成果は随所で出はじめた
今回、 技術 KI 導入の背景には桑野社長の意向もあるが、 ラインの風通しをよくすることも目的の一つだった。 「合 併したのですから、当然ラインで人材が入り交ざるわけで すね。そんな中、経営層から様々な指示が出た時、うまく 現場に伝えていけるのかという大きな課題がありました」 (後藤氏) 。事業部長から現場の人まで参加する技術 KI 発 表会は、様々なメッセージを伝える有効な場となった。 また、現場サイドでの成果例について「あるチームでは リーダーに仕事が集中し、 抱え込む状態になっていました。 部下が若いから任せられないと思われていたので、ではこ ういうやり方でやってみたらどうかとタスクの見える化を 提案しました。すると、部下は書き出されたタスクを見て 状況を把握し、自ら積極的に仕事を引き受けにいく姿勢に かわりました」と竹川氏は一例をあげる。 「結局、今まで彼らも相談するところがなかったと思う んです。ところが話せば事業部長も他の人も反応し、アド バイスし、一緒に考えてくれる。それを実感すると色々な 情報を積極的にあげるようになった。結果的にコミュニ ケーションが活発になり、風通しもよくなったんです」と 後藤氏は話す。 これまでマネージャー層が部門の問題について話合う機
技術KIの更なる 定着を目指す
今後の課題について後藤氏はこう話す。 「かつて 『ちけっ と活動』の時もそうでしたが、何事においてもマンネリ化 は避けられない。それを打破し、上手く定着させることが 最大の課題です」TIS では技術 KI 定着のため、各部門に 推進リーダーを置き、研修を受けた推進役が技術 KI を部 門内に深く浸透させけん引している。 「我々の仕事はお客様満足度を向上させることが必須で す。顧客満足度をあげることで次の領域確保につながりま すし、ひいてはお客様が競争相手に勝って事業を拡大し、 また我々に仕事を任せてくださる。お客様の成功こそが 我々ビジネスの成功なのです。今後はこれまで以上にお客 様の視点に立った要素も、技術 KI の中に組み込んでいき たい。そういう面からの支援も JMAC さんにお願いした いと思います」と、展望について後藤氏は語った。 2011 年、3 社合併を機に「チーム力向上施策」と銘打っ て展開された今回の TIS 技術 KI は、これまで一定の成果 を上げつつも、まだ会社全体に浸透し、真の威力を発揮す るプロセスの途上だと言えよう。今後も技術 KI を、同社 がさらなるシナジー効果を発揮しつつより一層の風土・基 盤づくりの武器として活用し続けていくことを期待したい。
担 当 コ ンサルタントからの一言
「見える化」することから
職場の変革が始まる
メンバー一人ひとりが
日 常 の 泥 臭 い 課 題 を 語 り、
継続的に改善し続ける組織への第一歩は 「見える化」 から
IT ・ 情報システム業界は、 時代をけん引し急速に成長拡大してきました。 成熟期に差し掛かった現在では、一人ひとりが成長しながら生産性の 高い仕事の進め方をすることが求められています。TIS さんでは「個 人の急速成長」と「チームで戦う力」の両輪をバランスよく展開され ています。 その結果、職場の中に次々とドラマが起こり、継続的に改善し続ける 風土へと変わっています。
チーフ・コンサルタント
中村 素子
「技術 KI」の実践内容に触れ、体感できる機会をご用意いたしました。詳しくは巻末の「Information」をご覧ください。
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