ビジネスインサイツ49
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Asianization
アジアを中心に「戦略」 「マーケティング」 「人材養成」の 3 視点から JMAC が支援した企業事例をご紹介します。
~農業ビジネスの新たなモデルをグローバルへ~
川下へのビジネス展開で、 「農業生産マルチサポート事業」を 世界へ広げよう
住友商事株式会社
農薬トレードビジネスからディストリビューションへ。時 代の変遷と伴に、農薬事業を川下へと広げていった住友商 事は、2011 年、ルーマニアで農業資材販社アルチェドを 買収した。はるばる東欧の地で、新たなビジネスモデルを 構築していった背景は何なのか。また川下の 3500 もの農 家を相手に、 どのような働きかけ、 サービスを展開していっ たのか。アルチェド買収の意図やプロセスをお聞きすると ともに、今後の戦略、展望についてお話しいただいた。
アグリサイエンス部 部長 アグリサイエンス部
為田 耕太郎
Kotaro Tameda
Takeshi Ishihara
石原 壮
ディストリビューションの 皮切りとなった東欧の地
住友商事は農薬ビジネスにおいて、半世紀以上にわたる 実績を持つ総合商社だ。主に日本のメーカーが製造した農 薬を海外へ販売する役割を担ってきたが、80 年代後半か らの円高進行により、取り巻く環境が一変。さらに追い打 ちをかけるかのように、商社不要論が持ち上がったのもこ の頃だ。いわゆる商権問題も浮上する中で、残ったのは市 場規模が小さい地域やそれなりのリスクを伴う後進国、発 展途上国だった。
「我々だけではなく、どこの商社にも農薬部隊がありま したが、みんな同じ時期、同じ問題に直面していました。 選択肢として、後進国、発展途上国向け農薬ビジネスを対 象とする商社として生き残っていくのか、それとももっと 川上・川下へと守備範囲を広げていくのか。そのほとんど は後者の方に、しかも川下へと舵を切ったのです。 」と話 すのはアグリサイエンス部部長 為田耕太郎氏だ。 そんな中、同社は 90 年代よりディストリビューション へ進出する。ターゲットになったのは東欧。 「北米、西欧 であれば、既に競合大手がいる中で、後発として入ってい かねばなりません。その時点でトレード自体の仕事があま
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