ビジネスインサイツ49
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創 業 : 1893 年(明治 26 年)2 月 資 本 金 : 353,740 万円(2013 年 8 月 31 日現在) 従業員数 : 280 名(2013 年 3 月現在) 主な事業内容:医薬品、医薬部外品、医療用具ならびに 食品等の製造および販売
本年、創業 120 周年を迎える森下仁丹は、今や「シーム レスカプセル」に代表される最先端技術企業として、年商 約 100 億に達する優良企業だ。しかし、駒村社長が入社 した頃には市場からやむなく退場という瀬戸際にまで追い つめられていた。古い企業体質や従業員の意識をいかに改 革し、企業再生を図ったのか。そのプロセスや今後の戦略 について駒村社長にお聞きした。
駒村 純一
私がイタリアで買収した企業を経営するときも、自分が オーナーの気概で経営にあたりました。相手がオーナーだ からと言って構えたり引いたりするのではなく、自然体で 飛び込めたのではないかと思います。 分野は異なりますが、 その時の経験が森下仁丹の企業規模、売上高から見てどこ か通ずる点が多かったことも、同社へ思い切って飛び込ん だ理由のひとつかもしれません。
代表取締役社長
ブランドへの過信が強く、いいモノを作れば放っておいても 売れるだろうという感覚から抜け切れていなかったんです。 その上、自分達の会社を拡大しよう、企業を大きく育て ようという意識も希薄でした。そんなことをするよりも、 今までやってきたことを踏襲し、これまで通りのんびり やっていれば、当時の業績くらいは維持できるとどこか考 えていたように見えました。 しかし、その考えはもはや通用しなくなっていました。 私の入社時点で多額の損失計上が懸念され、一つ間違える と債務超過を起こして市場から退場してもおかしくない瀬 戸際の状況だったんです。ですが、社員は皆危機感など感 じていなかった。というより、会社の真の実態を理解して いなかったのです。
Junichi Komamura
閉ざされた組織は 窮地に立たされていた!
鈴木:実際に森下仁丹へ入られて様々な違いに驚きも感じら れたかと思います。当時の状況についてお聞かせください。 駒村:いざ森下仁丹に入ってみると、とにかく大変な状況 にありました。会社の中で社員は皆、一つひとつの点の集 合体。どういうことかと言うと、つながりある線や組織と いう面を作っているわけでもなく、社員という点がポツポ ツ点在して、ところどころでいくつかの小さな集まりを 作っているような状況でした。IT 環境に例えると、まさ に LAN、Local Area Network のような感じです。 外に対しては鎖国状態。結局は森下仁丹の過去のやり方や
自分の常識は非常識!? 気づきを持てば視野は広がる
鈴木:変革の過程で、土台となる社員の意識改革、組織風 土改革に取組まれたと思います。その仕掛けやご苦労など についてお聞かせください。 駒村:社員研修やセミナーなどを実施しましたが、そうい
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