ビジネスインサイツ49
- ページ: 6
- 6
改革を経て攻めの姿勢へ転じる! 新たな文明堂銀座店の歴史が始まった
ビジネス成果に向けて JMAC が支援した 企業事例をご紹介します。
組織変革で 「本物のカステラ」の 伝統を後世へつなぐ
株式会社文明堂銀座店
文明堂グループは創業 113 年という歴史ある老舗 企業だ。関東および東北・北海道を販売エリアと する文明堂銀座店は、震災等度重なる苦難を乗り 越えてきたが、古い企業体質が足かせとなり、厳 しい経営状況から抜け出せない状態が続いてい た。そんな中、本物のカステラの味と伝統を守る ため、痛みを伴う組織変革を断行した。改革を通 し文明堂銀座店はどのように変わっていったの か。これまでの取組みを紹介する。
吉川 精二
取締役社長
Seiji Yoshikawa
度重なる苦難を乗り越え 老舗の歴史は続く
「文明堂」のルーツを辿ると、明治 33 年、長崎の地で カステラを中心とする菓子製造販売業を創業した頃まで遡 る。かつて伝統産業の老舗や商家では「暖簾分け」は珍し いことではなかった。 「文明堂」も大正 3 年に東京へと進 出し、昭和 28 年には勝どき工場を開設。その後株式会社 化や、分社化を経て「文明堂銀座店」が誕生した。今もカ ステラへのこだわりと職人の技を継承する歴史ある企業で ある。
その長い歴史の中では、関東大震災、第二次世界大戦と 様々な苦難を乗り越えてきた同社だが、2011 年、東日本 大震災で再度被災し、甚大な被害を被った。当時の状況を 吉川精二取締役社長はこう振り返る。 「当社の船橋工場は京葉食品コンビナートにあるんです が、ここは埋立地でして、実際に中の設備は相当動いたり 傾いたりで、再稼働までに約 2 週間くらいかかりました。 また、宮城の東北営業所は鉄筋だったため評価としては半 壊までに至らなかったものの、実際には外壁もひどくひび 割れ、退去も考えなくてはならないレベルまで被害を受 けたんです」 。自社の生産機能がストップしたことに加え、 お客様も多い東北の営業拠点を被災した影響が重なり、し
- ▲TOP