ビジネスインサイツ50
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また、オーナーシップが社内に生まれるもう一つのきっ かけとして「JMAC は、常に現場に足を運んで、管理職 だけではなく、職長やオペレーターにも気軽に声を掛けて くれていました。そして、 現場のチームミーティングでも、 常に彼らと同じ目線で議論を引っ張ってくれたのです。そ れは、このプロジェクトが私や管理者のためだけのもので なく、社員全員のためのものであることを身を持って伝え てくれたのだと思います」とも言う。
「全社戦略展開プロジェクト」
Strategy
目標設定と ブレーンストーミング
Tool
Operation
評価指標 (コクピット)
Finance
見える化
進化はこれから! さらなるバージョンアップとグループへの展開!
JMAC の 12 回目の訪問で、今回のプロジェクトが一区切 りついたとき、 プロジェクトマネジャーがこう言った「JMAC は、私たちがお腹を空かせていたとき、魚をくれる代わりに 魚の釣り方を教えてくれた。このことで私たちは一生暮らし ていくことができる」と。また、 他のプロジェクトマネジャー は「このプロジェクトが始まった時、我々の会社は各部門が バラバラで、 考えていることも共有できていなかった。 しかし、 1 年余り経った今、我々は本当の意味で 1 つになった」と伝 えたという。泉本は、 「当初は、丸一日では行き着けないセイ シェルに月に 1 度 1 週間訪問するという大変なプロジェクト ですが、 この言葉を聞いて本当に報われた瞬間でした」 と語る。 そして「このプロジェクトは、タイの TUF で実績を作った 石田の、生産・会計の専門性に、私の戦略策定・執行の専門性 とファシリテーションスキル、そして若手の分析力が総合力と なって実を結んだものです」と。 「全社戦略展開プロジェクト」は、売上高増加、コスト
削減、品質向上、リードタイム短縮、企業文化変革等あ らゆる目標の設定と展開を推進するが、IOT では初年度、 加工費削減だけに焦点を当てたことになる。加工費削減の 予算レベルに上積みしたチャレンジングな目標を掲げ、そ れをやり遂げることが確実になるところまで来た IOT だ が、この 1 年は現状の問題解決に取組んできただけだと課 題意識は高い。今後は、現在の「問題」だけではなく、さ らに高度な目標を掲げ、中・長期的な「課題」に取り組ん でいく目標を立てているという。 Madnack 氏は「1 年かけてこの活動を我社の血肉にし てきましたが、さらにこの体質を強化していくために、 JMAC の力も借りながら、まだ手を付けていない、品質、 リードタイム、在庫、企業文化の変革などさまざまな課題 に取り組んで行きたいと思っています」と語る。 セイシェルでのプロジェクトの成功を受け、同じプロ ジェクトが今年 3 月からガーナのグループ会社でも始ま り、泉本も石田も 30 時間以上かけて一月置きに現地に赴 く。さらにバージョンアップした IOT の「全社戦略展開 プロジェクト」と他のグループ会社への展開が楽しみだ。
﹁左脳﹂と﹁右脳﹂ の両輪を駆使し た取組みが確実 な 実 行・ 成 果 へ とつながる!
担 当 コ ン サルタントからの一言
「戦略」と「オーナーシップ」
私が戦略コンサルタントになった 18 年前、戦略をオーナーシップと結び付 けようという人は少数でした。戦略という領域は、長く「左脳」が支配して いた領域だと思います。つまり、データ、ファクト(事実) 、論理、これら が戦略の領域でいつも繰り返し強調されてきました。しかし、ここ数年、感 情、 イメージ、 モチベーションと言った「右脳」領域に触れること無しには、
戦略執行は不可能だと思っています。 IOT の Madnack 社長が、 「このプロジェクトが成功してい るのは、 オーナーシップがあるからだ」と語った時、 私の思いが通じたと確信しました。オーナーシッ プとは、人の為でなく自分のためにやるんだという強い意志の表れと言えるからです。右脳と左脳 の結合(マリアージュ)があってこそ、戦略は確実に執行されるのだと私は考えます。
チーフ・コンサルタント
泉本 保彦
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