ビジネスインサイツ50
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す。撮影は、室内機のラインの横だったのですが、 室外機は別のラインから現場のリーダーが持ってき てくれて、また、女性社員が頼んでない久寿玉まで 用意してくれて。これはなかなか撮れない写真、私 の一生の宝物です」と岡本氏は感慨深く振り返る。 そこには堂々と腕組みし、ものづくりのプロとし て、誇りや達成感に満ち溢れたメンバー達が映し出 されていた。
ものづくりの神髄は 近江商人の教え 『三方よし』にあり
「うるさら7」はその後、新冷媒の採用で業界トップの 省エネ性を達成したこと等が高く評価され、 「省エネ大賞」 を、また、地球温暖化と日本のものづくり競争力強化に貢 献する次世代エアコンの開発が評価され、 「日本ものづく り大賞」を受賞し技術力の高さを内外に知らしめた。受賞 について、岡本氏はこう分析する。 「評価ポイントは近江商人の教えにある『三方よし』と いう言葉がぴったりだと思うんです。まずは 『売り手よし』 --- これはモノづくりの視点。そして『買い手よし』--- こ れは省エネやサーキュレーション気流といった付加価値。 最後に『世間よし』--- これは今回、ものづくり大賞受賞 で一番教えられたことですが、サプライヤーと共に勝ち続 ける構造や、グローバルを見据え、デファクトスタンダー
室内機生産ラインの横で『うるさら7』1号機を囲み 記念撮影をする滋賀製作所の皆さん
ドにするという視点です」 また、今回のプロジェクトを通し、 「マザー工場」のあり かたについても岡本氏は話す。 「マザー工場は新しい技術を 生み出す場所。ですが、新しい技術さえ生み出せばそれで いいのではなく、やはり利益を出してこそ、なんです」 2010 年 4 月からスタートした「うるさら7」プロジェク トは、3 年という月日の中で組織の在り方そのものを変え た。 「解決できていなかった課題をブレークした瞬間をみん なで共有した時が一番力になる」と岡本氏は語ったが、そ の力の結集こそが「うるさら7」誕生に他ならないだろう。 今後も新たな技術開発や付加価値の提供で「うるさら7」 に続く世界を揺るがす新製品を、同社のマザー工場である 「滋賀製作所」から生み出してくれることを期待している。
担 当 コ ンサルタントからの一言
原価企画担当 シニア・コンサルタント
今回ダイキン工業様のプロジェクトを担当した 「4人のコンサルタントからの一言」です。
生産ものづくり担当 シニア・コンサルタント
加賀美 行彦
桜井 祥裕
ダイキン工業様は、こだわりを強く持って取組ま れるお会社と感じました。目標や、技術、現場、 そして滋賀製作所へのそれぞれのこだわりの結実が、よい部門間 連携を生み、全方位的な多くの受賞に値する活動になりました。 調達、サプライヤー担当 チーフ・コンサルタント
開発の技術へのチャレンジ心と製造・生技 の“ありたい姿”追求の想いが一致した時、 大きな力が生まれプロジェクトのいくつもの壁を超えるブ レークスルーとなりました。 商品企画、コンセプトメーキング担当 チーフ・コンサルタント
中山 隆
近藤 晋
開発、生産技術、調達のプロジェクトメンバー が早期に目標と課題を共有化し、サプライヤー の現場に足を運んで協業活動を推進できたことがポイントにな りました。
最高の価値を届けたいというダイキン工業様 の妥協なき姿勢と強い想いに客観的な視点を 与える“お客様の現場”を加えた活動展開が成功のポイン トであったと思います。
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