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Atushi Niimi
新美 篤志
1947 年 1971 年 1971 年 1999 年 2002 年 2009 年 2013 年
生まれ 名古屋大学 工学部航空学科 卒業 トヨタ自動車工業㈱(現 トヨタ自動車㈱)入社 トヨタ自動車㈱生技管理部長 トヨタモーターマニュファクチャリングノースアメリカ㈱取締役社長就任 トヨタ自動車㈱取締役副社長 就任 ㈱ジェイテクト 取締役会長就任
アメリカのセルフリライアンスを目指すことで彼らもダブ ルキャップをかぶってくれました。 何かテーマをつくって、 それを皆で支えるという風に仕向けていくことがチームを つくり、リードしていく上で大切です。その仕掛けは上手 くいき、結果的に非常に力がついたのです。
失いかけても、もう一度高く遠くを見上げれば、また向か うべき方向がわかる。まさに夜空に瞬く「北斗七星」を目 印にするようなものです。
目印は「北斗七星」! 遠方の目標を示す
鈴木:これまでのお話を振り返りますと、従業員一人ひと りを大切にしながら、それぞれの力を引き出し、全体の底 上げを図っていこうという考えが伺えます。新美さんの経 営哲学をお聞かせください。 新美:まずは個々の能力向上が一番です。そのためにも皆 が「無理難題」を抱え、それを解決していく過程の中で、 それぞれが能力を高めていく必要があるでしょう。そして 彼らをどういう風に大きな経営課題へ向かわせて行くか、 その仕掛けをすることこそ経営ではないでしょうか。 その上で、高い目標だったり遠い目標だったり、向かうべ き方向性、つまりビジョンが重要になってきます。今のお客 様もさることながら、未来のお客様にはいずれ今のプロダク ツでは満足いただけなくなるでしょう。ですから、未来のお 客様が欲しいと思うものに向かっていくために、それが何な のか日頃から想像力を磨いていくことが大切でしょう。 少し遠い目標を立てて、そこへ向かう。途中で目標を見
人材育成のポイントは 「皆を困らせているか」
鈴木:最後に、これからの日本を担う経営者、経営幹部に 向けたメッセージをお願いします。 新美:私はいつも若い人達や経営者を目指す人に言うこと があります。それは一人では仕事はできないということ。 つまり、スタッフ一人ひとりの能力を上げ、育成していく 必要があるのです。そのためにもテーマやターゲットに向 かってスタッフに「無理難題」を与え、スタッフがそれに チャレンジしているかに心を配るべきです。 言い換えれば「皆を困らせているか」ですね。できない 理由は言わせない。そんな理由を考えても、何の意味もな いからです。大切なのはどうしたらできるか、どうやれば できるかを考えるように仕向けることです。その過程で困 れば助ける、いっしょに考える、わかるように導いてあげ る。そのためにも経営者はいつもオープン・マインドであ る必要があります。要するにコミュニケーションが大切な んです。それを常に心がけるとともに、どこを目指すかと いう方向性や目標を描き示すことが、何より経営者に求め られていることだと考えています。
鈴木亨の
対談を終えて
対
ひとこと
談からトヨタのものづくりに対する熱いDNAを感じとることができまし た。脈々とトヨタ流のものづくりを継承する風土、その根幹は安住せずレベ
ルアップする意識と、答えを自ら考えさせる仕掛けにあると思いました。また、国境 を越えてものづくりに関わる現場の人たちは皆、 良い仕事をしたいのだというお話は、 グローバル展開の肝であると感じました。
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