ビジネスインサイツ54
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人と組織(チーム)の力を最大化することを目的にJMACが 支援した企業事例をご紹介します。
現場目線で「人」を育てる
〜「種まきと水やり」実践だからこそ人が育つ!〜
現場経験があって こそ感じた衝撃
株式会社日立国際電気は、2000年(平成12年)に、日立 グループの無線通信関連事業を手がけてきた企業3社(国 際電気、日立電子、八木アンテナ)が合併して誕生した。 以来、日立グループの一員として、3社の持てる力を伸 ばすとともに、そのシナジー効果を高めることで、通信、 放送、映像、半導体製造分野で新たな価値を創出し、安全 で豊かな社会づくりに貢献してきた。2014年3月期の業績 は、連結で売上高1,673億6,500万円、営業利益169億7,600 万円と、売上高営業利益率10%超を確保した。 同社において、合併前から現在に至るまで人財育成を 牽引してきたのが人事総務本部 人財戦略部 主管 森 邦夫 氏だ。もともと国際電気出身の森氏は、合併当時を「3 つの会社がそれぞれ扱っている製品、教育の中身、社風 や組織風土が全く違いました。例えば国際電気は縦構造 がはっきりとした会社、日立電子はフランクな社風があ り、八木アンテナはブランドをベースにした会社。そん なイメージがありましたね。合併とはこういう全く違う 風土を融合させなくてはならないものなのだと実感した 瞬間でもありました」と振り返る。 人財育成のエキスパートとして活躍し続けている森氏
であるが、意外なことに、入社当時の配属先は畑違いの 情報システム部門のプログラマーやSEを担当していた。 その後営業職を経て、経理で原価計算などの経験をした 後、自らの希望で1998年に当時の国際電気研修所で人財 育成に携わるようになる。2002年からは日立国際電気の 人事総務本部に統合となるが、 現場の困りごととその 解決策は、現場との会話を通じてしか分からない との 強い思いがある。
現場目線だからこそ 見えてきた課題
現場目線に近づいて人財開発に携わる森氏であるが、 人財育成に興味を持ったきっかけは、工場内の自衛消防 隊の指導者を経験したことだという。「元々会社の研修 にはあまり関心がなかった社員なのですが、自衛消防隊 の指導者を経験して、人を育てることの大切さを学びま した。また、仕事を通して現場との接点が多かったため 『本社の机に座っていては現場が何を必要としているの かが分からない』という思いから、工場に席を置かせて もらいました」という。 この仕事を数年続けた中で見えてきた実態がある。そ れは、人財育成が断続的になってしまっていたことだ。
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