ビジネスインサイツ54
- ページ: 11
- 11
株式会社日立国際電気
座学だけの研修では、変化が見えない人財開発施策でよいの かという問題意識を持った人事総務本部 人財戦略部 主管 森 邦夫氏は、2007 年から実践的な OJT「オン・ザ・プロジェ クトトレーニング(On the Project Training) 」の導入を決意 した。変わりゆくビジネス環境の中で、どのようにして「人」 を育ててきたのか。その現在までの取り組みについてお話を お伺いした。
人事総務本部 人財戦略部 主管
森 邦夫
Kunio Mori
「工場も収益が問われます。人財育成への予算も景気や 業績に左右されやすいのです。更に、管理職が多忙に なってOJTが停滞したこと、また、新しい方法論を用い た仕事の変革等により、人財育成の進め方に危機感を感 じました」と森氏。 「業績に左右されず続けていくこと、更に時代の変化 に適した人財育成施策が重要だ」と考えていた森氏は、 経営層に働きかけた。「経営幹部も景気に左右されてし まう人財育成に危機感を感じていました。一定の金額を 投資しなければいけないということにも理解を得られ て、8年前から教育の予算投資配分の仕組みを作りまし た。一定額を必ずプールし、予算を確保するのです。こ れで業績に関係なく人財育成を続けていくことが可能に なりました」それは「長いスパンで育成を考えないと、 人は育たない」という森氏の思い、そして常に現場に寄 り添う視点からなされたものだった。
の視点から一般的な知識や思考・気づきを与えるもので す。それに加えて、ビジネス環境の高度化、スピード化に 即した研修や育成が必要だと思いました。」と語る。 ビジネスが、単品のハードからソフト機能を重視したシ ステムに変わっていくにつれ、「技術が次々と変わり、ビ ジネスが変わって、自分たちの経験値が及ばないところに きている。もっと世の中の潮流も見て、現場を見て現場で はできないような人財育成施策を展開することが大切」と 思った森氏は、先を見据えた取り組みを模索した。 そのパートナーとして支援をしたのがJMACのチー フ・コンサルタント渡部 訓久だった。実はJMACの支援 は2002年に遡る。「FF研修」と名付けられた、技術開 発・商品開発における源流段階の検討力と、そのための 組織的な技術課題解決力強化を目指した研修から始ま り、設計・生産の改革活動、職場活性化(KI)活動や階 層研修などを並行して支援をしており、現場の実態を熟 知していた。森氏と渡部が組んで現場と実務に即した人 財育成が動き始めた。
ビジネスが変わり、かつてのOJTだけ では変化に対応できなくなってきた
そして従来のOJT(On the Job Training)だけでは人財 育成に足りないと頭を悩まし続けた。 OFF‑JTについて森氏は、「本社が行うOFF‑JTは、全社
HOWからWHATへ ストーリーを つなげて
ゆく
実務に即した人財育成として、プロジェクトリーダー
- ▲TOP