ビジネスインサイツ54
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近藤 史朗
Shiro Kondo
1949年 1973年 2002年 2003年 2005年 2007年 2014年
新潟県生まれ 新潟大学 工学部卒業 株式会社リコー入社 上席執行役員に就任 常務取締役に就任 取締役 専務執行役員に就任 代表取締役 社長執行役員 CEOに就任 代表取締役 会長執行役員に就任 は、数年、数10年先の未来のために研究をしているのです から、常に「未来起点で仕事をしなさい、君たちが未来の 価値を決めるんだよ」と言っています。私は、経営に一番 大事なのは、この10年先、数10年先の未来を見据えた長期 視点を持って判断することだと思っています。
伝えられないですからね。企業は、社会の役に立ち、その 存在を認められなければ価値がないことは、言うまでもあ りません。そういった価値を創り出していくために、「自 分たちのコア事業や技術の周辺領域にどんどんチャレンジ していく」ということを基本的な戦略にしています。 また、お客様や社会の役に立つ価値を創造しつづけるた めには人と人とが、直接コミュニケーションを取ることで 起きる化学反応も非常に大切です。そのためのツールやデ バイスも創っていきたいと思っています。世の中は「モ ノ」から「コト」へと、サービスの利用といった価値へ消 費が移行していると言われていますが、「モノ」「コト」 両方を理解してこそ新たな創造ができるのだと思います。 だから、リコーはさらに「モノ」を強化し、「モノ」「コ ト」両方を極めていく努力をしています。
リーダーの条件、 それは「揺るがぬ信念」
鈴木:最後に、近藤会長から次世代を担うトップ、経営 幹部の方へ向けたメッセージをお願いします。 近藤:いつでも「等身大の自分」でいようとすることが 大切ですね。そうでないと、誰も自分に対して本当の意 見を言ってくれないし、胸襟も開いてくれません。そし て、何よりも経営者は「揺るがぬ信念」を持つことで す。構造改革は、まさにこの信念がなければ実現できま せんでした。信念を持つことで、みんな安心して一緒に 仕事をしようという気持ちになってくれますから。 また、「我慢強さ」も必要です。例え話になります が、私は趣味で野菜を育てていますが、最初は小さな2 枚の葉が顔を出します。これを雑草に勝てるまで大切に 守ってあげればあとは自分でぐんぐん育って行きます。 事業も人材育成も同じだと思います。最初にきちんと リードしてあげれば、あとは自分で伸びていくもので す。事業も人も育つには時間が必要です。 次世代のリーダーには、「揺るがぬ信念」と「我慢強 さ」、そして「未来起点」を持って自分の信じた道を突 き進んで欲しいですね。
ものづくりも経営も 「未来起点」が大切
鈴木:これまでずっと改革を続ける中で、様々なご苦労 があったと思いますが、近藤会長を牽引してきたもの、 一番根底にあるものとは何でしょうか。 近藤:それは仲間ですね。仲間に支えられてきました。社 内にも、OB/OGにも、家族にも「がんばれ」と言って 私を支えてくれる人がいて、その存在は大きいですね。 最近、みんなに「仕事を楽しめ」とよく話しますが、こ れは私の今の率直な心境でもあるのです。そして、技術者 には「顧客起点、競争優位、ルール変更をスローガンにも のづくりをしなさい」とも話します。商品開発をする人
鈴木亨の
対談を終えて
経
ひとこと
営者は孤独であると言われます。 しかし、 ひとりでは何もできません。 リコー の構造改革を牽引できたのは仲間の支えがあったからだと会長から伺いま
した。経営者はブレないリーダーシップを持つことが基本であると思います。それ と合わせて、人を惹きつける力、支えてくれる仲間を持てる人柄、これもまた経営 者にとって重要な要素であると改めて確信しました。
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