ビジネスインサイツ54
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ど梱包に応じ種々のスペックを充たさなくてはならない オーダーメード型で採用までの難易度が高いのですが、 食品は大量生産ですので、納品後の品質、高速ラインの 中でも耐えられる品質が求められます。顧客からの要求 や納品後の求められる品質は全く違うものでした」と語 るのは、生産本部 生産管理部 生産管理グループ 担当課 長 宮地 均氏だ。 2人は現在、同社における「設備効率化活動」の推進 役として各事業所を率いている。 合併後から既に意識改革を目的とした改善活動を進め てきた同社だったが、宮地氏は、 「設備そのものを知らな い状況で、机上の技法をいくら学んで適用しても、本当 の原因は出てこないのです。改善活動のあり方自体をワ ンランク上げて行かないと、本物の活動にならないと感 じました」と語る。 今までの活動も重要だが、実際に設備のトラブルが発
習うより慣れろ!
土岐事業所での出来事が 活動の原点に
ダイナパックにおける 「設備効率化活動」 のきっかけは、 小嶋社長が土岐事業所にて導入している設備のメンテナ ンス講習に立ち会ったことがきっかけだった。この設備 は外部のメーカーより購入しているものだが、外部の設 備担当者を迎えて、オペレーターが実機で指導を受ける というものだ。この講習を見学した小嶋社長は、自社の 施設生産部門のメンバーのスキル不足に課題を持った。 設備でものづくりをする企業にも関わらず、このような 技能レベルで良いのか、 「三現主義」を大切にする小嶋社 長の素朴な疑問だった。 また、齊藤副社長も若かりし頃、TPM 賞受賞に向けた 活動で実際にメンバーとして現場に入った経験がある。 1990 年、日本ハイパック時代のことであり、本活動に向 けた原体験となっている。こうして小嶋社長、齊藤副社 長の活動に対する意見が一致したのである。 このことについて、大山氏も同様の考えを持っていた。 「私がまだ若く現場にいた頃は、スパナや金槌を持って自 分達で機械を分解したものです。この繰り返しによって 設備の機構などを自然と理解して行きました。今は設備 そのものが高度化し、さまざまなセンサー類などが搭載 されることもあって、自分達の手では分解する機会すら ないのです。一方で、顧客の製品に対する品質要求は高 まっており、良いものづくりのためにも、設備を知るこ とはとても重要なことだと思いました」 という。 こうして、 一からものづくりの基礎を強化するため、自主保全がで きるようなスキルと意識の改革を目指した活動がスター トしたのだった。
生した時はその現象を自らの目で確認し、なぜそれが発 生したかの原因を追究して、そのメカニズムを理解する ことが大切である。まさに、三現主義の取組みである。 そこで同社は、より実践的な活動に向けて 2012 年末JM ACに声をかけたのだった。 相談を受けたJMAC チーフ・コンサルタントの芝田 邦夫は、ダイナパックの工場を見学しオペレーターの設 備に対する関心が薄いと感じた。 「たとえば、 設備の清掃・ 点検・給油チェックシートには『異常なし』となってい ますが、実際の設備をみると、紙粉やインクの飛散や堆 積があったり、部品の摩耗、曲りやチェーンの緩みなど が見受けられました。 どれも小さな事象ですが 「異常なし」 と判断する状態ではないと思いました。現場の実力とは このようなところに現れるのです」 (芝田) 。こうして、 同社の国内に8工場のうち、まずは4工場をモデル工場 として、現場のオペレーターの意識を変えること、保全 レベルを上げることを狙いとした活動に取組んだ。モデ ル工場の取組みやノウハウを全工場に推進することを視 野に入れたマスタープランを作成し本格的な支援がス タートした。
▲チーフ・コンサルタント 芝田 邦夫
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