ビジネスインサイツ54
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課題解決のためにどうすればよいか、どのような手順で 進めるべきかについては、皆さんで考えてもらうように しています。答えを出すのは簡単ですが、それでは自主 性には繋がりません。自分達で答えを出すのは苦しく、 難しいことですが、それが血肉になるのです」コンサル タントによる指導は月2回行われるが、1回目の指導か ら2回目の指導までの期間が、まさに職場が自主的に考 える大切な時間だという。 大山氏は「生産量が多く忙しい職場では、活動への時 間が取れないという声も良く聞きます。ただ、最近はそ
コンサルタントの芝田が指導、 現場の基本は「整理・整頓」から
のような中でも、5 分 10 分となんとか時間を作り活動を している声も聞かれます。忙しいからやめるようであれ ば体質強化には繋がりません。そういう意味で JMAC の コンサルタントの指導は、職場の状況に応じて上手に接 していただいていると思います」という。
自主自律型な取組みで現場の 「意識」と「スキル」に変化
2013 年 2 月からスタートした「設備効率化活動」は、 今年2年目を迎え全8工場に展開しているが、大山氏、 宮地氏共に現場の変化を感じている。大山氏は「今まで インクを使う工程はどこの工場に行ってもインクの飛散 が課題でした。これまでの対策はいずれも飛散防止のカ バーをする改善内容でした。それがある工場で、発生源 に遡って装置そのものを変えた工場が出てきたのです。 供給量、排出量を計測して、自分達で材料を購入し、ノ ズルを切って、 穴を空けて、 そんな改善が出てきたのです。 とても感心しましたし、意識や姿勢が変わってきたなと 実感した出来事でした」と語る。 また宮地氏は「今まではオペレーターはものを作る人、 施設課は修理をする人でした。この活動を通じて、オペ レーターには自分達の設備は自分達で直すという意識が 出てきました。今では設備のメンテナンススキルについ て貪欲に吸収しようとしています。施設課のメンバーは、 予防保全や改良、専門保全といったワンランク上の取り 組みを目指しています。高度化する設備のメンテナンス に対応していきたいという意識に変わってきています」 とその変化を語る。 このような変化について、シニア・コンサルタントの 寺田 厚は、 「指導で大切にしていることは、何を見るべ きか?何を考えるべきか?を考えてもらうことです。大 きな方向性やコンサルタントとしての知見は伝えますが、
現場力を上げるポイント
① 基本的活動を3現(現場、現物、現実)主義で実践する ② 改善活動を継続していく。 「継続は力なり」 ③ 事後対応から予防的活動へと移行させる
経営トップと現場の 二人三脚
本活動は、3ケ月に1回、活動内容を評価する診断を 開催し活動の工夫点や成果を発表する場を設けている。 その場には、 他事業所の部長クラスだけでなく、 小嶋社長、 齊藤副社長など経営トップも積極的に参加している。宮 地氏は「現場にとっても経営トップと直接コミュニケー ションが取れることは、メンバーの動機づけに繋がって いると思います」という。 「これまでは職場単位での業務 の壁、 意識の壁があったと思いますが、 この活動を通じて、 グループ間のコミュニケーションが増えて部門の枠を超 えた活動も見られます」と大山氏。 今回の「設備効率化活動」は普段の仕事を通しては見 えてこなかった、アイデアを持った人材、技能やスキル を持った人材が率先して活動を引っ張り、後押している 一面も見られるという。そういう人材の存在にも気づか された活動にもなっている。
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