ビジネスインサイツ55
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2Sを通してその考え方を 身に付ける!
トップの本気度が メンバーを動かしていく
安部氏は、就任当時の松本工場の間接部門を見て「製 造現場ではいろいろな改善をしていましたが、間接部門 では部分最適で、仕事の仕方も属人的になっていると感 じました」と語る。工場なのになぜ間接部門なのか、実 は安部氏は前任の株式会社北陸富士(現富士パワーセミ コンダクタ株式会社 北陸工場)において、経営者として 工場の 2S 活動を全社展開し、間接部門でも 2S 活動から 業務改善活動へと活動を進化させた実績があった。 「前任の工場へは間接部門の 2S 活動を始めたころに赴 任し、面白い活動をやっているなと思いました。製造現 場では 5S は当たり前ですが、間接部門には、改善活動で なかなか定着するものがなく、整理整頓という基本の分 かりやすさと全員で活動する点が間接部門にも馴染むと 思いました。松本工場でも同じ活動で『○○さん しか できない』から『誰 でも できる』という仕事の仕方 に変わって欲しいという思いで、支援をしてくれていた JMAC の芝田さんに声を掛けました」 (安部氏) 。 2010 年 6 月から診断を始め、同年 10 月間接部門を対象 にした「業務品質向上活動」がスタートした。 チーフ・コンサルタト 芝田 邦夫は当時を振り返り「診 断時の間接部門は、机の上、引出しの中、キャビネ全て が雑然としていました。 そこで、 2Sの必要性を感じました。 2S は『要るモノ』 『要らないモノ』を区分けし、要るモノ はどこに何があるかを明確にします。ただモノを分け、 置き場を決めるだけでなく、本当に必要なモノを見極め、 使いやすいようにする仕組みを構築する考え方を身に付 け、従来の見方を変える活動でもあります。モノの 2S か ら発展し、書類、電子データなど情報の 2S も行います。 情報の 2S は、属人化している情報が誰でも見えることで メンバーがお互いの業務内容や業務の仕方を知ることを 目的の一つにしています。そのため第1ステップは『モ ノの 2S (整理整頓) 活動』 、 第2ステップは 『情報の 2S (ファ イリング)活動』とステップ化して順を追った活動とし ました」と語る。活動は課長職以下の事務所のメンバー で構成され、モデルチームが先行して活動の見本を作り、 その後の横展開で全職場を対象として進めていった。
生産統括部 松本工場 チップ製造技術部 製造技術課長 毎熊 健氏は「私の部門 は製造ラインで出る不良 に対して、再発しないよ う日々、工程管理などを 見直し品質改善を行って います。当初はそういっ た通常の業務との違いが 理解できませんでした。
▲毎熊 健氏
ただ不良への火消的な対応が多かったので、現場への改 善提案が必要だとも思っていました」という。 松本工場 総務部 経理課長 山下 和浩氏は「以前にも社 内で同じように改善活動 がありましたが、全員活 動ではなかったので、プ ロジェクトが終わると活 動も終わり継続性があり ませんでした。最初はメ ンバーからも業務の負担 が大きくなるという声が
▲山下 和浩氏
ありました。ただ経理は専門性が強く属人的になりがち です。残業時間が多いことや納期を守らなければならな いプレッシャーを皆が感じていました」と振り返る。 そして、現在事務局の生産統括部 生産企画部 担当部長 山口 武氏も活動当初を 「間接部門は直接部門の サポート役で様々な業務 が発生しますが、元々雑 務も多いため、効率を上 げるということに結びつ けて考えることがありま せんでした」という。現 殺されていたのだった。 現在事務局の生産統括部 生産企画部 SC 改革課長 小山 勉氏は 「チームによって活動に対する温度差やアウトプッ トのバラツキは確かにありました。ただ、工場長のブレ
▲山口 武氏
場には危機感や課題意識はあるものの、日々の仕事に忙
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