ビジネスインサイツ55
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タ L&F)である。トヨタ L&F の歴史は、1956 年に共和 工場で初号車「LA 型フォークリフト」の生産開始に始ま り、2008 年フォークリフト生産累計 200 万台を達成、 2013 年には国内販売台数 48 年連続 No.1 達成し、揺るぎ ない基盤を築いている。
者として事業を牽引して行く、将来の核となる年代に成 長してもらいたいという思いがありました。カンパニー トップの理解と強い後押しもありプロジェクトを立ち上 げることができました」と当時の思いを語る。
2020年を見据えた 新規事業への挑戦
強い基盤を持つ同社であるが、2008 年リーマンショッ クの波は厳しいものだった。売上が低下することで 2008 年度、2009 年度と2期連続の最終赤字を余儀なくされた。 回復基調を待ち、同社は 2011 年秋「2020 年ビジョン」を 掲げた。変化を続ける時代環境の中、 新たな成長のステー ジへと向かうための経営の羅針盤である。 トヨタ L&F でもカンパニーとしてのビジョンを作成し 高い目標に向かって動き出そうとしていた。当時 TMHG 経営企画部 部長で、現在執行役員の稲川 透氏は「 『2020 年ビジョン』の高い目標に到達するには単にフォークリ フトを作って、売って、アフターサービスをする従来の ビジネスモデルを続けているだけではダメだと思いまし た。2020 年にどんな姿になっていたいのかを具体的に描 くことも必要ですし、事業拡大のため、コア領域をベー スにもっと活用、応用することを模索してみてはどうか と考えていました」と当時を振り返る。 ちょうどその頃、稲川氏は JMAC が開催したセミナー に参加した。そのセミナーが 「プロフィット ・ デザイン」 で、 事業開発に向けた内容であった。稲川氏は「シンプルで 分かりやすいプロフィット・デザインの考え方は使えそ うだ」と感じたという。 プロフィット・デザインとは、ビジネスモデルを「フッ ク(顧客を魅了する要素) 」 「ロック(顧客をスイッチさ せない要素) 」 「チャージ(顧客視点での課金要素) 」とう い3つの要件から描く JMAC 独自の思考方法で、この3 つの要件を満たすビジネスの仕組み(ビジネスモデル) を描くことで、持続的に利益を生み出す事業を生み出す 手法である。 セミナーをきっかけに稲川氏はプロジェクト立上げに 動き出す「将来の事業の芽、アイデアを出すことも大事 ですし、そういう発想を持った人材、特に 2020 年に責任
視点が変わり 発想が変わってきた
2011 年 10 月末、販売、調達、物流、商品開発などさま ざまな部門に稲川氏が声を掛け、公募、推薦でメンバー を募る形で 10 名のメンバーが集められた。JMAC からは チーフ・コンサルタント竹村 薫を中心に数名のコンサル タントがチームで参画し、トヨタ L&F における「新たな ビジネスモデル構築プロジェクト」がスタートした。 半日を 11 回、3 ケ月を掛けて進められたプロジェクト だが、 メンバーから69件のアイデアが出てきた。 竹村は 「最 初は現在の事業の振返りをしっかりと行い、自分達の強 みを把握しながらアイデア出しを行いました。皆さんア イデアが豊富で組み立て方を変えると良いものになるの ではないかと思いました」という。 調達部 調達室 グローバル企画 G グループ長 今枝 憲吾 氏は「当時 2020 年ビジョ ン が 出 て、現 状 と の ギャップが大きくどう やってギャップを埋めて いくのだろうと感じてい ました。プロフィット・ デザインの考え方は分か りやすく、現業の延長線
▲今枝 憲吾氏
上でアイデアを出し合うことでも新たなビジネスチャン スを生み出すことができるんだという学びはが大きかっ たですね。ギャップを埋めるために何とかしなくてはな らないという考えに変わって行きました」という。 海外営業部 販売企画 室 企画グループ 濵中 翔 太郎氏は「会社の風土と して標準化が根付いてい るため、決まった仕組み で動かしていくことは強 いのですが、新しい発想
▲濵中 翔太郎氏
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