ビジネスインサイツ57
- ページ: 14
- 14
〜未来を考え続けた先に 壁を乗り越えるヒントがあった〜
新たなペイント文化の 創造に向けて
日本ペイントの歴史は 日本の洋式塗料の歴史
日本における洋式塗料の歴史は、日本ペイントホール ディングス株式会社(以下日本ペイント)の前身である 光明社の設立に始まる。それまで輸入に頼っていた塗料 を、茂木 春太、重次郎の兄弟が初めて亜鉛華の製造から 固練り塗料の国産化に成功し、1881 年(明治 14 年)塗料 会社が誕生したのである。1897 年(明治 30 年)には「亜 鉛華製法」の特許を取得、1898 年(明治 31 年)日本ペイ ント製造株式会社として改組し、日本初の塗料工業会社 として新たなスタートを切った。1927 年(昭和 2 年)か ら現社名へと改称し、今年で創業 134 年を迎える歴史を 積み重ねた企業である。 創業からの DNA を引き継ぎ、研究開発、技術の蓄積 に努めてきた同社は、塗料の用途を、自動車、工業用、 船舶用から、道路や家庭用にまで範囲を広げてきた。さ らに現在では、塗料技術の応用から表面処理の付加価値 を追求して、ファインケミカル、エレクトロニクスなど の新規分野にも積極的に参入し、日本で唯一、塗料と表 面処理をワンストップで提供できる総合塗料メーカーと して、さらなる多角化を推進している。
今までのやり方では 限界が見えてきた
長年培ってきた技術力を、新規事業へと結び付ける開 拓やチャレンジを続けてきた同社だが、被塗物、いわゆ る塗られる 物 があって初めて活きるという塗料の特 性から、お客様の要望に応える開発が多くなり、受け身 の感覚が強くなってきていたと語るのは、工業用塗料事 業本部 FP部 部長 山本 明氏だ。山本氏は「当社は他の 塗料メーカーに比べて、 新規事業開拓へのチャレ ンジには歴史があると 思 っ て い ま す。ま た、 1970 年 代 か ら オ イ ル ショック前後も含めて、 一般の塗料ではない領域
▲山本 明 氏
に我々の技術を活かしていこうという流れがあり、その 流れは今も脈々と受け継がれています。その一方で、私 は入社以来ずっと新規の開拓を担う組織におりますが、 次の新たな商品がなかなか生み出せないというジレンマ も抱えています。今までの延長線上の考え方やアプロー チでは限界がくると感じており、やがて頭打ちになるの ではないかという危機感を持っていました」と語る。 日本の経済が順調に伸び、新しい産業が次々と台頭し
- ▲TOP