ビジネスインサイツ57
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日本ペイントホールディングス株式会社
洋式塗料国産化の草分けである日本ペイントホールディングス株式 会社は、創業からのチャレンジ精神を脈々と受け継いできた。 しかし、 塗料の特性からお客様の要望に応える意識が徐々に強くなり、そこに 危機感を感じていた工業用塗料事業本部(現:日本ペイント・インダ ストリアルコーティングス) FP部 部長 山本 明氏は、従来と違った 視点で新規事業を考える人材の強化に動き出した。 その活動の背景や 思い、 メンバーの成長、 今後の方向性についてお伺いした。
▲光明社時代の輸入品企画に合わせた塗料缶の前で 左から藤田氏、古森氏、山本氏、林氏
てくる時代には、新たなチャレンジの場が自然に生まれ ていた。このような時代ならば、 今までの取り組みをベー スにした材料開発、チャレンジのあり方でも一定の成果 を出すことができた。しかし、市場や経済が成熟化し方 向性が見えづらくなる中、従来の発想や進め方を続けて いては近い将来限界がくるだろう。 山本氏の危機感のベー スにはこうした時代背景があった。 山本氏はこの課題にどんな長期視点で取り組めば良い のか悩み、様々なセミナーに参加して模索する日々が続 いた。併せて戦略企画部門と共に、複数のコンサルティ ング会社の提案から、自分たちに合った方法を熟考し、 準備も進めていた。最終的に JMAC の「未来構想」とい う考え方をベースに実践研修形式で進めるということが 決まったのは 2013 年 6 月だった。
なのか、どのようなシーンなのかをイメージアップする のが「未来構想」という考え方だ。 山本氏は「目の前にある開発、製品をいかに作り上げ ていくかということも大切ですが、一度、将来どうある べきか、という一歩高い視点から思考した上で、現在の 製品開発を考えていくことが必要だと考えました。我々 が新たな材料を提案することで、最終的な商品の未来を 変えていくような、そんな提案型の製品開発に変えてい きたいという思いがありました」と語る。今までの「潜 在ニーズの先取り」から「潜在ニーズの提案」へと風土 を変えていきたいという思いが込められていた。 企画段階からメンバーに加わった、工業用塗料事業本 部 FP部 課長 古森 秀樹氏は、 「新しい分野を開拓したい という気持ちは私自身も 持っていました。ただ、 塗料という限られた範囲 の中で、他社も同じよう に取り組んでいます。そ の中で我々だけが抜きん 出るということはなかな
限界の壁をどう乗り越えるか!
▲古森 秀樹 氏
従来の商品開発においては、現在の商品に対する不満 や改善要望といった顧客の声を元にしたテーマに偏りが ちで、どうしても今の延長線になってしまい、姿勢も 受 け身 になりがちだ。現状の延長線ではなく、飛躍(ス トレッチ)した未来を描き、飛躍した未来のお客様は誰
こもり
か難しい、そんな行き詰まりも感じていました。今回の 活動は、 その壁をどう打破していくのかを考える良いきっ かけになると思いました」と振り返る。 発想の自由度や、バイタリティを持ったメンバーに集 まってほしいという思いの山本氏だが、何よりも自主性
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