ビジネスインサイツ57
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ケーションをとるように心がけています。現場では特に 新入社員との接点を持つことを意識しています。言動や 動線を見て新入社員と会話することが楽しみですし、そ れによって、その職場のチーム力を推し量ることもでき ます。現場に行くたびに社員が成長し、生き生きと動い ている姿を見るとうれしいものです。社員の成長は、も のづくり企業の成長そのものです。工場の上長と共に、 より活発なコミュニケーションが交わせる職場づくりを 目指しています。
ル市場拡大に挑戦してきました。おいしい生ビールを安 定して製造する為には、お客様の要求するおいしさ品質 に徹底してこだわり、高度な品質管理が欠かせません。 そこで武蔵野工場の醸造技師時代には品質管理の最高賞 であるデミング賞への挑戦に関わりました。品質機能展 開法を開発して、技術スタッフと現場が一体となって全 工程を一気通貫で管理できるしくみの基礎をつくりあげ るなど、当時のしくみが現在の日常の品質管理の礎に なっています。 また、現在統括している清涼飲料水事業では、天然水 やトクホのお茶など事業拡大を見据え工場建設やライン
チーム一丸で現場力を高める
鈴木:サントリーと言えば やってみなはれ の精神が有名 ですが、垣見社長がこれまでチャレンジされたエピソードを お聞かせください。 垣見:私の入社数年後の1980年代当時は、当社の事業は ウイスキーが主流でビールはまだまだ利益が出ない時代 でしたが、これから伸ばすべき分野だと期待は大きく なっていました。そのような中で、効率的な生産と工場 のキャパシティー増強のため、設備の増設をしていきま した。他社のように毎年設備を増設し続けられる程の販 売の伸長はありませんでしたから、我々は、今作る設備 は5年先に最先端であるべきとの責任感に燃えて、5年先 の技術を推し量りながら新しい設備を作っていきまし た。「5年後に勝てる醸造設備や醸造技術を持つためには 今何をすべきか」ということを皆で議論し、知恵を出し 合いましたね。当時はアメリカの酒造メーカーから効率 のよさを学び、ヨーロッパの酒造メーカーから伝統的な 味作りを学び、それが意味することを技術的に解釈し て、その上に5年先を見据えた独自の技術を構築しまし た。ですから、ベンチマークするのは今でも世界ナン バーワンです。技術者の先輩からも「目標は高く世界レ ベルの あるべき姿 を描いて、そのギャップを解析し 全て埋めるんだ」と教えられました。 かつて日本市場ではビールは中味を容器に充填後に加 熱殺菌する方式が主流でしたが、サントリーは充填後に 加熱殺菌をしない「おいしい生ビール」にこだわりビー
改造を進めてきましたが、常に業界No.1や世界基準にな ることを目指した高い目標に挑戦する風土づくりを意識 しました。また、新製品開発や容器軽量化にともなう多 くの技術的に困難な課題も、安全・安心・美味・美装の 品質にこだわり、開発部門、技術部門、製造現場が常に 一気通貫で積極的にコミュニケーションが図れるよう配 置要員数なども配慮し、「やってみなはれ」が実戦でき る環境づくりを行い進めています。
ものづくり現場の 価値観を合わせる
鈴木:垣見社長のお話を伺っていると、常に現場目線を大切 にされていると感じます。現場のマネジメントで大切にされ ていることをお聞かせください。 垣見:やはり一番大切なのは、ものづくり現場で共通の 価値観を持つことだと思います。サントリーではTPM (Total Productive Management)を1990年始めから推進 しています。TPMはロス排除と保全を基本としたマネ ジメントの体系で、ものづくりに携わる全ての社員によ る活動です。巨大な装置産業であるビールや清涼飲料水 の製造現場では、多くの社員とコンピューターが共同 し、分担して仕事が成り立っています。こういった現場 では、皆が同じ目標、目的に向かって心を一つにするこ とが大切です。ビール、清涼飲料水づくりにとって欠か せないもの、それは 人の和 と 基盤となる技術 で す。こうした考えのもと、個人の強みを最大限に引き出
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