ビジネスインサイツ57
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垣見 吉彦
Yoshihiko Kakimi
1952年 1975年 2007年 2009年 2012年
岐阜県生まれ 広島大学工学部発酵工学科卒業 サントリー株式会社入社 常務取締役就任 サントリー食品インターナショナル(株) 専務取締役 サントリープロダクツ(株) 代表取締役社長 現任 サントリー食品インターナショナル(株) 取締役副社長 現任
しそれぞれが持場のプロになるためにも、TPMは有効 なマネジメントツールだと考えています。 さらに清涼飲料水の工場では、近年勤続5年未満の社員 が4割を占めるようになりましたが、ものづくりの共通の 価値観を浸透させる上でもTPMは有効と考えていま す。TPMを推進してからは、一人一人が工場全体を見 渡し、自分が何をすべきかを考えて取り組むようになっ てきました。 現在では、国内だけでなくフランスやベトナムなど海 外工場でもTPMの考え方の展開を進めており、ものづ くりの共通言語として発展させています。そして、これ からはグループ内の事業会社の壁を越えてサントリーグ ループのものづくりの共通の価値観に育てていきたいと 考えています。お客様に喜んでいただける価値創出のた めに、ものづくり全体でレベルを上げていくことが重要 だと考えています。
垣見:一つ目に、若い経営幹部の皆さんには日本のもの づくりの強さを一層磐石なものにするための議論を続け て欲しいと思います。日本の企業が海外で行うものづく りの形は、自社で海外に会社や工場を設立するケース と、M&AやJVなど既存の現場でものづくりをするケース が有ります。当然ながら、それぞれのケースで日本のも のづくりの適用と浸透のやり方も努力の焦点も違うはず です。 今後日本のものづくり企業がグローバル化を展開する 上で、是非「日本のものづくりの強さ」を海外で活かす ための道筋を研究して欲しいですね。そして、それを共 通の知見・財産として積極的に発信して頂きたいと思い ます。 また二つ目は、例えば日本の清涼飲料水の市場は、今 後の飛躍的な拡大は見込めませんが、そのような環境だ からこそ、新しい価値を創造してお客様に提案し、市場 そのものをもっと大きくしていく努力が必要です。その ためには、一人ひとりが高い視点を持ちこれまでにない 新たな価値を創造できる人材が必要です。こうした人材 育成のためにも新たな挑戦の場を設定し、やってみなは れを実戦させ、一気通貫のコミュニケーションを通して 一人一人の成長とチーム力を高めることに真剣に向き 合っていただきたいと思います。
「日本のものづくりの強さ」を 海外で展開するために
鈴木:最後に、垣見社長から次世代を担うトップ、経営 幹部の方へ向けたメッセージをお願いします。
対談を終えて
鈴 木 亨 の
ひ と こ と
ビ
ールの醸造に長い間関わられてきた垣見社長からは、ものづくりに対する熱 い思いが伝わってきました。ものづくり現場で技術と技能の融合が良いもの
を生み出していく、そのためには技術者と技能者のコミュニケーションが何より大切 であるという思想を貫いて、日常のマネジメントを実践されていることに感銘を受け ました。現場に対する温かいまなざし、それはまさに垣見社長のお人柄の現れである と感じました。
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